2015年から増税! 相続・贈与最新事情

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最高税率の引き上げ

2015年1月から相続税が増税される。相続税を計算する際には、相続財産から基礎控除を差し引くことができる。基礎控除は相続人の数によって決まっており、14年までは、配偶者と子ども2人の計3人の場合、8000万円となる。ところが15年1月以降の相続では、基礎控除が縮小され、先の例では4800万円まで減少することになる。

さらに最高税率も引き上げられる。現在、相続税の税率は10%から50%まで6段階になっており、財産の額が多くなればなるほど高い税率が適用される仕組みだ。改正後はこれが8段階に細分化され、最高税率は55%に引き上げられる。

同時に贈与税も改正される。最高税率が引き上げられる一方で、一部の贈与額においては、これまでよりも税率が低くなる。さらに、20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた場合には、一般の贈与よりも贈与税が軽減される仕組みも導入される。今後ますます贈与を利用した相続税対策が注目されるだろう。

増税に先立ち、減税も実施されている。「教育資金の一括贈与に係る非課税措置」だ。これは13年4月にスタートしたもので、祖父母や父母が子どもや孫に教育資金として1500万円までの一括贈与が非課税になるというものだ。

通常の贈与の場合、贈与から3年以内に相続が発生すると、贈与分も相続財産に含める必要がある。しかし、この制度では含める必要がないというメリットがある。

(構成、図版作成=向山 勇)
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