大学入試とは仁義なき戦いだ!
入試直前の2月には「仁義なき戦い」と名づけた講座を開いていました。これは私の実体験がもとになっています。浪人中の年末、祖父と一緒に行ったアメ横で、「このままじゃあ、また落ちるんだろうな。でも二浪はできねえしな」と考えていたとき、英語の長文問題で、本文を読まないで設問だけ読んで答えを出す方法を編み出したんです。そして実際の入試では、スーツにレイバンのサングラス、小脇に「ジャパンタイムズ」を抱えて悠々と葉巻をくゆらせていた。80分の試験を40分で終え、これ見よがしに答案を出して教室を出たんです。つまり自分の点数がこれ以上上がらないと判断したら、周りの点数を落とすことを考えたんです。ですから「仁義なき戦い」なんです。
予備校の生徒とは1年間ほどの付き合いですが、いまだに連絡をくれます。教師冥利に尽きますね。
努力したのは私だけではありません。ある夏休み、理事長が腰から手ぬぐいをぶら下げて横断歩道で交通整理をしていました。要するに、代ゼミは生徒に最高の環境を提供しようとやってきた。だからこそ人気があり、生徒が集まったんです。
ですが、18歳人口の減少を見据えた状況判断を誤ったのでしょう。そうなると、悪循環です。安い先生を使い、授業の質が落ちる。さらに生徒が集まらない。そして、一気に規模縮小です。まあ「13日の金曜と仏滅と三隣亡が一緒にきた」ような感じですかね。
かつての予備校には、大学を卒業してからでさえも学びたいような、個性的な先生がごろごろいた。そうならないと人は集まってきません。できないのであれば、早く業種を転換したほうがいいでしょう。
(青柳雄介=構成 村上庄吾=撮影 時事通信フォト=写真)