2014年8月よりTVCMを開始し、アプリのダウンロード数も500万を超えた。国内外から約40億円を調達し財務的な基盤も整えるなど、快進撃のスマートニュース。そこには、かつて他企業でIPOを果たした者や著名メディアの編集長だった者など、さまざまなキャリアを積み重ねてきた人材が集ってきている。その中でも同社を縁の下で支える功労者たちに、キャリア観や将来の展望などを聞いてみた。

創業した会社をIPOさせても、またベンチャーへ

藤村厚夫(ふじむら・あつお)●執行役員/メディア事業開発担当シニア・ヴァイス・プレジデント
――お二人のキャリアについておうかがいします。まず、藤村さんはアイティメディアの経営者としてウェブ媒体の一大ブランドを築き上げた後に、なぜまだ無名だった時期のスマートニュースにジョインしようと思ったのでしょうか。

【藤村】アイティメディアでは2007年にIPOし、さあガンガンいくぞというタイミングでリーマンショックが起きて、ものすごいダメージをくらいました。その頃、私は「ウェブで利益を出せないメディアなんてあり得ない」というぐらい成功の方程式をわかったつもりでいたのですが、一気に赤字に陥ってショックを受け、いろんなことを考えました。

自分のなかでの理解としては、21世紀に入っていながら20世紀の出版社のビジネスモデルをつくり上げてしまっていた要素が強い。だから過去100年の間に培われてきた仕組みではない、新しい21世紀のモデルを組み立て直さなければいけないと思いました。ちょうどその頃からiPhoneが誕生し、モバイルやスマートフォンのトレンドが爆発的な力を持って我々の目の前に現れてきました。

スマートフォンという新しいハードウェアが出てきたから21世紀の新しいメディアビジネスが生まれるとはいいませんが、メディアが新しい未来を創り出していく原動力となるトレンドとしてはやはりモバイルの存在がは大きく、その上でエコシステムをつくるのならどんな形になっていくのかに意識が向くようになりました。そんなことを考えてうんうん唸っている頃にスマートニュースとの出会いがあり、SmartNewsを通じて新しい仕組みづくりに真剣に取り組む向き合うようになった、というところです。