大事な件は繰り返し伝えよ
旧第一勧業銀行で主に企画・人事畑を歩んだ作家の江上剛さんも、話すときには「わかりやすい言葉を使うことが肝心です」と指摘する。
「銀行には『期中平均残高』『乖離幅』など独特の業界用語があります。こういう用語を使って、支店の全体会議を開いたらどうなるか。上司は同じ銀行員だから話は伝わると思い込んでいますが、ほとんど伝わらないというのが実態です」
原因は、難解な専門用語を無配慮に多用してしまう上司の姿勢にあるという。
一方、不動産検索サイトの「ホームズ」を運営するネクストの井上高志社長は「わかりやすく伝えることは大前提」としたうえで、「大事な件は繰り返し、繰り返し伝えること。つまりコミュニケーションの量を増やすことが大切です」と強調する。
一度聞いただけでは頭のなかを通り過ぎてしまうかもしれないが、繰り返しいわれれば嫌でも記憶に残る。本気で伝えたいなら、そこまで考えるべきだというのである。
「“熱量”も大事です。淡々とした業務報告のなかでも、ここは本当に守ってほしい、絶対にコミットしてほしいという部分では、話し方に熱を込めますね」と井上さんはいう。
「わかりやすく・繰り返し・ここぞというときは熱を込めて」。このように語ることが、社内コミュニケーションの基礎となる。以下、場面別の実例を見ていこう。