トラブル報告、価格交渉、歓送迎会のスピーチ……。オフィスや取引先、接待の場で成功するための話し方を達人に聞いた。

Case5.ダラダラした会議を導く
会議をする時間は短いほうがいいという。議論が拡散、紛糾したときにどうまとめるか。

議長役が率先して「交通整理」を!

不動産検索サイト「ホームズ」を運営するネクストの社内会議は30分か1時間と決まっている。その枠のなかで、議題に応じてあらかじめ“持ち時間”を決めておく。たとえば「情報共有・5分」「ブレーンストーミング・25分」「意思決定・15分」という具合である。

ファシリテーター(議長)のほか、議事録係、タイムキーパー役が決まっていて、タイムキーパーは会議室備え付けのストップウオッチで経過時間を管理する。

とはいえ、会議は毎回毎回、スムーズに進むとは限らない。社長の井上高志さんによれば、話しているうちに論点を外れ「迷路にはまり込んでしまう」人もいる。

迷子になったスピーカーを元の道に連れ戻し、議論を再開するのはファシリテーターの役目である。

「要点を簡潔に述べてください」
「その場合、何がイシュー(論点)ですか」

こういう言葉を投げかけて、交通整理をするという。

さらに効果的なのは「言葉ではちょっとわからないから、図解してください」と、ホワイトボードに主張の中身を書かせることだ。

「頭のなかが整理されていないと書けないんですよ。そんなモヤモヤした状態を言葉にしているから、話が長くなるし、聞いてもわからないのです」

しかし「図解」の真の効用は、その先にある。

「図を書いているうちに、他のメンバーが『なるほど。じゃあ、井上さんのいいたいことはこういうこと?』『こういう分類になるんじゃないかな』と口を出し、フォローをするようになるのです」(井上さん)

衆知を集めることで、会議の生産性が上がるのである。