──財団は一般財団法人としてスタートしましたが、1年以内には公益財団法人への移行を目指し、その際、基本財産を大幅に積み増す計画だそうですね。財産を拠出するのは井上さんだけですか?
【井上】そうです。私が持っているネクスト株のうち、相当部分を財団の基本財産に充てたいと考えています。というのも、私はネクストの4割近くを保有する大株主です。もし私が不慮の事故で急に死んだとしたら、相続の過程でその4割が分散してしまうおそれがあります。株主の考えによっては、「利他主義」を掲げるネクストの経営が変化してしまうかもしれません。そのような事態を防ぎ、また、財団からは大株主として常に経営を監視してもらえるようにと考えました。
税制上の話をすると、(一般財団法人と違って)公益法人への出資であれば譲渡税がかかりません。公益法人を大株主に据えることで、事業承継と社業の安定的な発展、そして財団を通じての社会貢献が実現できるのです。この仕組みはオーナー型企業ならどこでも応用可能です。該当する方は、検討してみてはいかがでしょうか。
ネクスト社長 井上高志
1968年、横浜市生まれ。青山学院大学卒。リクルートコスモス(当時)、リクルートを経て97年、ネクストを創業。物件数最大の不動産・住宅情報サイト「HOME'S」を育て上げた。今年3月に一般財団法人Next Wisdom Foundationを設立、代表理事に就任。
1968年、横浜市生まれ。青山学院大学卒。リクルートコスモス(当時)、リクルートを経て97年、ネクストを創業。物件数最大の不動産・住宅情報サイト「HOME'S」を育て上げた。今年3月に一般財団法人Next Wisdom Foundationを設立、代表理事に就任。
(プレジデント編集部・面澤淳市=聞き手 永井 浩=撮影)