昨年、世界ナンバーワンのPCメーカーに躍り出たレノボ。PC市場全体の縮小が指摘される中、2013年度は過去最高の業績を達成した。IBMのPC事業を買収、NECのPC事業も買収などに続き、今年はIBMのサーバー事業を買収、モトローラブランドのスマートフォン事業を買収し、新たな市場にも挑む。
――PC市場が縮小する中、売上高の8割をPC事業が占めるレノボが、過去最高の業績を達成した要因は何でしょうか。
【ランチ】PC業界はスケールが非常に重要な市場で、ナンバーワンのポジションを得ることは大きな強みになります。また、卓越したオペレーションの力や効率的なサプライチェーンの構築により、高いコスト競争力、リードタイムの短縮、新たな技術の搭載といったスピード感が生まれてくる。イノベーションへの投資も継続して行っています。レノボの特色は、「守りと攻め」の戦略にあります。自分たちの強みである中国市場やPC領域などでは市場を守り、スマートフォンやタブレットといった新たな領域では、攻めの戦略を打ち出すというもの。これらの特徴のうち、ひとつが完全に欠けてしまうと、持続的な成長は難しいです。
――スマートフォンやタブレットの台頭で、PC不要論も出てきていますが。
【ランチ】PCの形が変わる可能性はありますが、絶対になくならないと思います。PC市場は、全世界で年間約3億台、約20兆円の市場規模があります。市場の縮小速度も弱まり始めていて、むしろ、将来は盛り返してくると予測しています。レノボでは、スマートフォンとタブレットの合計出荷台数が、PCの出荷台数を抜きましたが、スマートフォン5台とPCの1台分の売上金額が同じです。PCの売り上げ構成比が、7割、6割と減少していくには、まだ2~3年かかります。PC市場には成長機会があり、まだ利益を拡大できると考える一方、プレーヤーの数が多いという課題もあります。規模が小さすぎたり、利益が出ていない問題を抱えるPCメーカーもあり、あと2~3社の撤退があるでしょう。