両社の考え方を残すと軋轢が生まれる
9月に合併した損保ジャパン日本興亜。損保の売上高にあたる正味収入保険料は約2兆800億円(2014年3月期)で、単体で国内最大になった。新会社を率いる二宮雅也社長に、今後の戦略を聞いた。
──旧損保ジャパンは02年に、旧日本興亜は01年に大きな合併を経験した。前回と比べて気をつけた点は?
【二宮】われわれが合併を発表したのが12年3月。システム統合を完結させるため、2年半の準備期間を取った。新会社発足まで十分に期間があったので、昨年4月から実質合併をスタートさせて、一体化を前倒しで進めた。具体的には、両社長以外の役職員は両社を兼務して、決定権を1つに集約。戦略や予算も一本化させた。さらに昨年10月には部支店長を、今年4月には課支社長を1人にした。
──人事の混乱はなかったか。
【二宮】出身会社に関係なく、人物本位の明確な評価基準を打ち出して一体化を進めていった。透明性を持った形でやってきたので、社員の中にそれほど不安は生じていない。
──両社の融合は、うまく進んだか。
【二宮】どちらも約120年の歴史がある会社。しかし、両社の考え方を残すと、それが軋轢のもとになりうる。合併を決めたからには、新会社はどうあるべきかという考えのもとに動くべきだ。そこで合併発表前に、私と櫻田さん(櫻田謙悟会長、旧損保ジャパン社長)で「3つのビジョンと5つの挑戦」をつくった。2人で2カ月間、毎日のように議論を重ねて、一字一句にこだわった。これを全社員に持ってもらい、何か問題が発生したときは新会社目線で考えることを徹底している。
──合併で何を目指すか。
【二宮】最重要戦略目標は、「お客様評価日本一」だ。規模は単体で一番大きくなったが、お客様評価がもっとも高い会社にならなければ、今後もお客様の数を増やしていくことはできない。