新興国のインフラ整備にも貢献

――不正請求への対処など損害保険業界全体の課題が浮上しています。新協会長として、どう取り組んでいきますか。
日本損害保険協会会長 二宮雅也氏

【二宮】損害保険協会は昨年(2012年)から3年間の中期基本計画を進めています。今年はその中間年に当たります。この計画を引き継ぎ、深掘りしていくのが私の役割だと思っています。なかでも重点課題は、防犯・防災面の取り組み、保険のわかりやすさと安心感の向上、損害保険事業の環境整備の3点です。

まず防犯・防災面の取り組みについてお話ししますと、事故や災害の発生に当たっては、適正な保険金を早くお支払いするのが私たちの使命ですが、一方で事故や災害、犯罪を未然に防ぐことにも注力しなければいけません。そのための啓蒙活動や、保険金詐欺、不正請求への対応を進めてまいります。たとえば全国の小学生が大きな模造紙で地域の防災マップをつくり、自分たちの住む地域の危険な場所を認識するという取り組みをしています。これは今年で10年目、のべ10万人が参加してくださいました。

一方、保険金詐欺、不正請求問題については加盟各社の情報を一元化し、データベース化する取り組みを進めてまいります。背景には次のような事実があります。英国や韓国における調査では、保険金支払総額のうち5~10%が詐欺によるものとされています。ところが日本で判明しているものは1%以下にすぎません。

日本には詐欺や不正請求をする人がほとんどいないのだとしたら素晴らしいのですが、現実は少し違うだろうと私たちは見ています。というのは、日本で意識調査をしたところ、不正請求に当たる事例について、ちょっとしたことなら「問題ない」と考えている人が多いことがわかったからです。