安倍政権への期待を背景に、株価の上昇基調が続いている。ドル/円相場が1年を通じて85円前後で推移した場合、2013年末時点の日経平均株価は1万2500円程度に上昇すると予想する。90円前後では、1万3000円に達する可能性もあるだろう。株価の上昇が期待できる業界、銘柄を個別に見ていこう。

同政権が進める経済政策の柱となるのが、脱デフレを目指す大胆な金融緩和だ。需要を上回るマネーが市中に流れ込んだ状態を過剰流動性相場と呼ぶが、このような状況では不動産や金融関連株が上昇する傾向にある。

金融緩和の結果、現在の円安基調が続けば、真っ先に恩恵を受けるのが外需関連株だ。自動車業界なら、北米に強いトヨタ自動車やホンダはもちろん、国内生産が主流で輸出比率の高いマツダや富士重工業にも期待が持てる。

コマツを筆頭とする建機メーカーやキヤノン、富士フイルムといった精密メーカーも恩恵を受ける可能性が高い。一方、世界市場で苦戦する民生電機メーカーの上昇は限定的だろう。

安倍政権が日本経済再生のための具体策として掲げるのが、公共投資を中心とした国土強靭化である。政府は1月、緊急経済対策として公共事業に5.2兆円の追加投資をすることを閣議決定。大成建設、鹿島などのスーパーゼネコンへの上昇期待が高まっている。

公共事業関連株で注目したいのが、太平洋セメントだ。同社の国内セメント販売シェアは約35%で業界トップ。復興需要が本格化し、大幅な業績回復を見込む。中央自動車道のトンネル天井板落下事故を受け、緊急経済対策の中には老朽化したトンネルや橋梁の改修なども盛り込まれており、このことも追い風となる。

安全保障強化を掲げる安倍政権は、過去10年間、減少が続いていた防衛費を来年度、1000億円程度増額する方針である。これにより恩恵を受けるのが防衛関連株。防衛省向けの売上高が大きい三菱重工業がその代表格だ。

一方、エネルギーや電力・ガス、食品などの輸入関連株は、原材料価格の上昇が見込まれ、下押し圧力となりそうだ。商品の多くを中国・東南アジアから輸入するアパレルや家具販売大手にとっても逆風となろう。

(構成=プレジデント編集部)