頑張る若い世代が夢を持てる地域づくり
【塩田】7月に入って、内閣支持率の下落や不支持率の上昇、滋賀県県知事選での敗北などがあり、安倍政権を取り巻く風向きが変わってきたという見方もあります。
【加藤】滋賀県知事選は、国政にまったく関係がないとは言いませんが、あくまでも地域のリーダーを選ぶ選挙だと思います。支持率についても、一喜一憂するのではなく、やるべきことをしっかりやっていく。その結果として支持していただけるようになると思います。
【塩田】加藤さんは大蔵官僚の後、なぜ政治家の道を選択したのですか。
【加藤】なんで役所を辞めたんだとよく言われました。もともと公の仕事をしたいと思って役所に入り、17年くらいいて、それなりに勉強もできたし、ある程度の仕事もやらせてもらえた。次は物事を決める仕事をしたいと思って無謀にも役所を辞めました。
【塩田】政治家として達成したい目標は何ですか。
【加藤】目標というよりも、つねに解決すべき課題があるから、その解決を具体的に図っていく。その積み重ねだと思っています。一つ一つの解決につなげていけたらいいなと思って取り組んでいます。
【塩田】安倍首相は集団的自衛権の行使容認や憲法改正など具体的な達成目標を持っていますが、加藤さんの場合は。
【加藤】安倍総理は、あるべき日本の姿をどう実現していくかを常に考え、そのために乗り越えるべき課題として憲法改正や安全保障の問題を捉えていると思うんです。大事なことはどういう日本にしていくかです。そういう意味で、私も安倍総理に近いものがありますので、一緒にやらせていただいている。
【塩田】加藤さん自身は、どういう日本にするのがいいとお考えですか。
【加藤】一番大事なのは、自分たちが愛している地域が抱える課題をどうするかです。私の地元もそうですが、人口が減少して、地域コミュニティがだんだん壊れつつあります。7月18日の閣議で、地方創生本部と呼ばれる「まち・ひと・しごと創生本部」をつくって、地方の人が抱えている不安をどう解消していくかという課題に取り組むことにしました。地域で頑張っている若い世代の人たちが、その地域で夢が持てる状況をどうつくっていくかです。国のあり方や国と地方の関係という問題も出てくるかもしれません。地域で頑張っている人たちがそこに踏み留まり、安心して生活し続けられる状況をつくっていきたいと思います。
内閣官房副長官・内閣人事局長・衆議院議員
1955(昭和30)年11月、東京都生まれ(現在、58歳)。加藤六月元農相の娘婿(旧姓は室崎)。都立大泉高校、東京大学経済学部卒。大蔵省に入省し、95年に大臣官房企画官を最後に退官。98年の参院選、2000年の総選挙で落選し、03年の総選挙で初当選。現在、当選4回(選挙区は岡山5区)。自民党の副幹事長、総裁特別補佐などを経て現職。財務省の木下康司前次官、香川俊介現次官と同期入省の「花の昭和54年組」で、古巣の財務省との太いパイプが隠れた武器といわれている。2度の落選経験を持つ苦労人で、政治家としては地味なタイプだが、高い行政能力と口の堅さは定評があり、菅官房長官が右腕と頼む存在。「尊敬する人物は」と尋ねたら、江戸開城を実現した勝海舟の名前を挙げた。「時間があれば、趣味のセーリングボートで海に浮かんでいたい」と話している。