「簡易ウォシュレット」でキレイに、痛くなく

用意するのは500ml入りのペットボトル。そのフタにキリで穴を開けます。ペットボトルにはぬるま湯を入れ、排便のあとの肛門にそそぎかける。

つまり簡易ウォシュレットです。

こうすることで肛門周辺についた便はきれいに流されます。また、そのお湯を受けるために、お尻の下には水分の吸収する尿取りパッドを敷くということも教わりました。その結果、肛門周辺の便はきれいに流され、紙でふく回数も少なくなる。そのうえで軟膏を塗ることで父の肛門は従来の状態に戻りました。

看護師さんにはこの他にも介護の処置がしやすいベッドの高さ、床ずれを予防するために体に座布団を当てる方法、現状の父のからだに負担をあたえず、よりラクな状態で眠るためのベッドの角度などを教わりました。

この頃の私は介護疲れが出て来たのか、父の状態は悪くなる一方だという後ろ向きの考えに支配されていました。が、看護師さんたちは、父のからだを少しでも良い方向に持って行くためにできる限りのことをしようと、知識と技術を総動員し父に向かい合ってくれました。

看護のプロとしては、そうするのが当たり前なのかもしれませんが、その姿勢には私自身勇気づけられ、「親父には元気になってほしい」と前向きな気持ちを取り戻しました。医療の専門家に診てもらえない親父の不安軽減のために来てもらうことになった訪問看護師さんですが、むしろ私の気持ちを支えてくれたような気がします。

訪問入浴と訪問看護を頼んだ効果はありました。父もサービスを受けているときは現状の辛さを忘れられるようですし、私にとっても介護の専門家に面倒を見てもらえる安心感は大きかった。

そんなことから身のまわりの世話をしてくれるホームヘルパーと訪問マッサージ師にも来てもらうことにしました。それぞれ1時間程度ですが、月曜と金曜は訪問看護、火曜はホームヘルパー、水曜は訪問入浴、木曜はマッサージと平日はすべて訪問介護サービスで埋まったのです。

しかし、土日はこれまで通り自力で介護をしました。何か事態の変化が起こったら自分で判断し処置しなければならないわけです。訪問看護師さんは緊急連絡用の携帯電話を持っており事態の急変があれば相談できることになっていましたが、些細なことで連絡できるものではありません。

金曜の午後から月曜の朝までの間、平穏に介護をすることが私の課題となりました。しかし、平日が介護サービスで埋まった翌週の金曜日、私のした処置が原因である問題が生じてしまったのです。(以下次号)

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