産婦人科医――命の誕生に関わる、やりがいのある仕事
産婦人科は、妊娠・出産を取り扱い、子宮や卵巣といった婦人科系の臓器の病気を扱う専門家である。「産婦人科は、帝王切開や婦人科系の病気の手術など、外科手術をする科なので、ある意味、外科医の1種。男女を問わず、外科医と同じように体育会系の人が多い」
そう話すのは、医師のコミュニティーサイトを運営するメドピア社長で現役の内科医でもある石見陽氏。
出産に関わる訴訟の増加や帝王切開での妊婦死亡が刑事事件になったことなどをきっかけに、一時、産婦人科医は医学部生の間でも希望者が減った。産婦人科医不足が大きく報じられたことをご記憶の方も多いだろう。
しかし、分娩を扱う病院を減らして1病院当たりの産婦人科医数を増やし当直回数を減らすなど、ある程度、労働環境改善を図った病院が多かったためか、産婦人科医は徐々に増えつつある。
ただ、産婦人科医全体では女性が29%であるものの30代では3分の2、20代では4分の3が女性医師。
同性の医師の診察を望む患者は多いので、それ自体は歓迎すべきことだが、女性医師の出産・育児休暇によって慢性的な産科医不足が懸念される。
逆にいえば、病院で産婦人科医として勤めたいという男子学生にとっては、超売り手市場だ。
出産を中心にしている医師を産科医、出産を扱わなければ婦人科医と分けて呼ぶ場合もあるが、もともと産婦人科で研修を受け経験を積んでいる人がほとんど。
婦人科医には、子宮筋腫や卵巣の良性腫瘍、婦人科がんの手術を中心にする医師もいれば、婦人科検診や婦人科系の病気の薬物療法や更年期障害の治療などを中心に行う開業医もいる。
「当直で疲れる日もあるけど、毎日のように、元気な赤ちゃんの分娩に立ち会える喜びは大きい」「治療が難しい卵巣がんの患者さんを治したい」――現役の産婦人科医たちの多くは驚くほど前向きだ。