目指せ医学部! だけど、一口でお医者さんといっても診療科によって事情もさまざま。どんな仕事なのか、どんな子に向いているのか。

目指せ“神の手”。体育会系の子におすすめ!

読者の中には、子供のころ、手塚治虫の『ブラック・ジャック』を読んで外科医に憧れた人もいるのではないだろうか。

小説『白い巨塔』、漫画『医龍』――。ドラマや小説の舞台にもなりやすい外科は、手術を中心に病気やけがの治療をする診療科だ。病院では脳神経外科、心臓血管外科、消化器外科、乳腺外科、整形外科、泌尿器科、形成外科、肛門外科など、臓器によって専門分化が進んでいる。

外科医の多くががん、心臓病、脳血管疾患といった命に関わる病気の手術を担当し、その技術力によって生死が分かれることもある。

「外科医には手先の器用さが必要ですし、手術では予測しない事態に遭遇することもあるので瞬時の判断力が問われます。一般論ですが、体力的にも精神的にもタフで、いわゆる体育会系の人が多いです。実際、先輩に誘われて代々、付属病院の外科に入局していた運動部もあるようです」

そう話すのは、医師のコミュニティーサイトを運営するメドピア社長で現役の内科医でもある石見陽氏だ。

データ出典:厚生労働省「平成22年医師・歯科医師・薬剤師調査」(開業率は、各診療科全体における診療所勤務者の割合とした)、厚生労働省「医療経済実態調査」

脳やすい臓がんの手術などでは、手術時間が10時間以上の長丁場になることもある。確かに体力と気力がある子に向いている仕事かもしれない。

一方で、外科といっても求められる力はさまざま。例えば、交通事故、やけどなどによる顔や体の表面の変形の修復、乳がん手術と同時あるいは後から乳房再建を行うのが形成外科。この科では、縫い合わせた組織が壊死しないようにしつつ、仕上がりの美しさも求められる。

名前がよく似ている整形外科は、腰痛、膝痛、肩凝り、骨折、脱臼、ねんざなどを薬、運動療法、手術などで治療する。スポーツをする親子にはおなじみだ。一方、高齢社会に不可欠な診療科でもある。