目指せ医学部! とはいえ、一口でお医者さんといっても診療科によって事情もさまざま。どんな仕事なのか、どんな子に向いているのか。
精神科医――聞き上手な子に向いている
精神科はうつ病、双極性障害(躁うつ病)、統合失調症といった、いわゆる心の病を薬や精神療法によって治療する診療科。
アルコール依存や薬物依存症、事故や災害の後に起こりやすいPTSD(心的外傷ストレス障害)、パニック障害なども精神科の守備範囲だ。
神経内科と混同する人もいるが、こちらは脳梗塞、パーキンソン病、認知症など、脳の病気を扱う科。強いて言えば認知症も精神科で扱うことがあるくらいの共通点しかない。
一方、心療内科は精神科とほぼ同じで、患者の抵抗感を減らすために心療内科、メンタルヘルスクリニックなどとしている医療機関も多い。
心療内科医には、もともと精神科出身の人が多いが、消化器内科を専門にし、精神的な要因で体に症状が出る心身症の患者の治療にあたってから心療内科に進むという場合もある。「精神科医は目に見えない病気を扱うため、心理学などのジャンルの本をよく読んでいて人の心に興味のある人が多い。人の話を聞くのが上手な医師が多い印象があります」
そう話すのは、医師のコミュニティーサイトを運営するメドピア社長で現役の内科医でもある石見陽氏。
確かに、取材で会う精神科医は感情の起伏が少なく、こちらの話もじっくり聞いてくれる人が多い。精神科医を目指すのなら、コミュニケーション能力が必須。
特に重要なのが、「聞く力」だ。
ただ自分のことばかりを話すのではなく、親や先生、友達の話の聞き役になる訓練が必要かもしれない。
うつ病は心の風邪、などと言われるように心の病は一般化しており、今後も、社会のニーズとともに精神科医の需要も増えていきそうだ。「精神科は都市部を中心に開業医としてのニーズが高いですし、ビジネスパーソンのうつ病や自殺者が多い中、企業の産業医に関心のある人たちにも向いている科です」
医師の転職支援・求人紹介を行うニューハンプシャーMC医師専任シニアコンサルタントの中村正志氏はそう分析する。