眼科医――男女差もなく当直・夜勤も少ない

眼科医のデータ 
出典:厚生労働省「平成22年医師・歯科医師・薬剤師調査」(開業率は、各診療科全体における診療所勤務者の割合とした)、厚生労働省「医療経済実態調査」

「眼科医は目が見えにくくなっていた患者さんに光を与えられる。診断から手術、角膜移植まで、一通り自分でできるのが魅力」

大学病院に勤務する眼科医は、みずからの仕事のやりがいをそう語る。

眼科は近視や遠視、老眼はもちろん、白内障、緑内障、未熟児網膜症といった、あらゆる世代を対象とした目の病気の専門家だ。

白内障や網膜症などの手術は、顕微鏡をのぞきながら施術するマイクロサージェリーで行う。

高齢化の進展で、白内障の手術や加齢黄斑変性、糖尿病網膜症が増えており、2030年には目の病気を抱える人は06年の1.25倍の200万人に達すると予測される。今後、さらに需要が拡大しそうな診療科のひとつだ。

では、どんな子に向いているのか。

「男女を問わず、眼科は、仕事だけではなく私生活も充実させたいというワーク・ライフ・バランスを重視するタイプの人が多い」というのは、中村氏だ。

眼科の手術は短時間で済み、それほど体力が必要なく、開業もしやすいこともあってか、眼科医の4割は女性。

医療機関で働く医師全体の65%が病院勤務医だが、眼科の場合、勤務医は4割弱。63%が開業医か診療所勤務医という特徴もある。

ただ、以前は、白内障手術をやれば儲かる「白内障バブル」の時期があったが、診療報酬が半減してバブルは崩壊した。視力を回復するレーシック手術も、09年に「銀座眼科」による感染症事件が発覚して以来、人気は失墜している。

だが、一方では、世界に先駆けて、近い将来、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使って再生した角膜の実用化が進みそうな分野である。

町の眼医者さんになるのもいいし、地道に研究・治療に取り組みたい人には明るい未来が開けていそうだ。