しかし、あなたがビジネスマンを笑わせる見込みがないわけではありません。

私が考える漫談家の条件は3つあります。ひとつ、親が放任主義であること。ふたつ、身長が低いこと。みっつ、ハンサムでないこと。その点、これを読んでいらっしゃるほとんどの方は合格です。謹んでお慶びを申し上げます。

さて、ここまで読んで「なるほど。こういう毒舌を使えばいいのか」と思った方、それは大きな勘違いです。

昔、西川口のキャバレーで「お金もないのにようこそ」と言ったら、白菜の漬物を投げられました。一方的な毒舌はケンカの火種。そうならないためには、最初に自分をいじめること。自虐を言えばいいのです。

「私、道に迷ったタヌキみたいな顔をしておりますが」「どうせ、私、カツラですから」

など、1回自分を落として相手を安心させた後、好きなことを言う。

さきほど申し上げた「福山雅治さんと間違えていませんか?」。この一言によって、「あんた、自分の顔知ってんの?」と許されるのです。

ガーンと言う前に、絶対にどこかで中和させる部分をつくって、相手を救ってあげましょう。

「こんな私が喋ってごめんなさい。でも今日は言わせてね」という気持ちで挑めば、相手に必ず伝わります。やがては「もっとちょっかい出して」「もっといじめて」という本能がくすぐられるはずです。あくまでも人によってです。