機能が多い=良い商品とは限らない
世界的に見ても、K字型経済が広がる中で、シンプルで最低限の機能を持つものが求められている。日本の家電は高品質が認められる一方で、使わない機能まで搭載して価格が高くなり、韓国や中国にシェアを奪われた歴史がある。
シンプルな商品だからこそ、世界に通用する可能性がある。腕時計も、かつての「緊急時に必要な道具」から、日常を彩るファッショナブルなアイテムへと位置づけが変わっている。
Apple Watchのように多機能化が進む一方で、「腕時計は時間さえわかれば十分」という消費者もいる。ファミマの腕時計は、シチズンとの共同開発による安心感と、ファッション性の高いデザインを2000円以下で実現した。今の消費者は、必ずしも機能が多い商品を求めているわけではない。自分に必要な機能があり、価格にもデザインにも納得できる商品を選ぶ傾向がある。
「高機能だから売れる」のではなく、「自分にちょうどいいから売れる」。ファミマの腕時計は、そんな消費の変化を象徴する商品だ。機能の引き算で価値を高め、コンビニで買う楽しさまで商品化したことが、ヒットの背景にある。
30年前、私がローソンで時計を扱った頃は「時間を知るための道具」をいかに届けるかが課題だった。今は「自分にちょうどいい一本」を、日常の中で気軽に手に取れるかが問われている。ファミマの腕時計は、その変化を静かに、しかし確実に示している。
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