“もう1つの皇室”が生まれてしまう
養子制度を推進した人たちは、養子の人数は「最低でも4人くらい」(百地章氏)と想定している。側室不在で男系男子に限定すると、皇室の存続のためには「四乃至五の宮家を常に確保し続ける」しかない(竹田恒泰氏)との見通しからだ。
当然、それぞれ結婚して「男子」を生むことが強く期待される。男子誕生の割合は2分の1。なので4世帯に平均2人の子どもがいると仮定すると、養子世帯の人数は16人。現在の皇室の方々の人数と同じになる。
もちろん、全員にそれぞれ規定通りの皇族費が支出される。新しく宮邸を4世帯分建て、両親と子ども2人なら、各世帯に職員7人と護衛官7人ほど配置されるだろう。そうすると、全体で56人ほどが養子家族のお世話と護衛のために必要になる。
今の皇室と同じ規模の皇室をもう1つ別に、民間人出身者によって作るようなものだ。養子の子が男子なら「実方の系統(実家の血筋)」を根拠として皇位継承順序が決まる。ということは、賀陽家、久邇家、東久邇家、竹田家という“民間人の血筋”によって即位する可能性があることを意味する。
そうすると、もし皇位がそちらの系統によって継承されたら、これまでの皇統は断絶し、民間人の血筋に取って替わられる結果になる。歴史上の人物で言えば、皇室の血筋を引く平清盛や源頼朝などの子孫に皇位が移るに近い。
養子はそもそも実現できるのか
推進派が構想する旧宮家養子制度は大がかりだ。しかし、具体的に制度の対象になるのは先に名前を挙げた4家(それに東久邇家から養子に出た壬生家)のみ。それらの家で15歳以上の独身者は今のところ6人という。
そこから「最低でも4人くらい」はさすがに無理がある。しかも民間人が養子に手を挙げることは、心情的・生命的結合によるご結婚に比べてより困難であり、「特攻隊に志願するほどの大きな覚悟と勇気を必要とする」(新田均氏)との指摘もある。だから、彼らのプランが「取らぬ狸の皮算用」に終わる可能性は大いにある。
それにしても、対象となる家は今後、民間人なのにその家族構成や子どもの年齢、その子が未婚か既婚かなどというプライバシーが、公的制度が実際に機能するための必要性から、つねに社会によって注目され続けることなる。迷惑な制度を作ったものだ。
