金利上昇で不利になる条件は三つある。第一に、預金などの金融資産が少なく、受取利息が増えにくいこと。第二に、住宅ローン残高が大きく、支払利息が増えやすいこと。第三に、賃上げ率が低く、負担増を給与の伸びで吸収できないことだ。預金を十分に積み上げる前に長期の住宅ローンを組み、賃上げの波からも外れつつある40代、特に40代後半の世帯は、この三条件が重なりやすい。

とはいえ、金利の上昇そのものを否定すべきではない。前述の試算が示す通り、家計全体でみれば金利の上昇はネットの利子所得を増加させる。また、低すぎる金利が長く続けば、円安や物価上昇を通じて別の家計負担を生む。重要なのは、利上げによる恩恵や負担の大きさが、家計によって異なるという点だ。金利上昇は経済正常化に伴う自然な変化である一方、その移行コストは住宅ローンを抱える現役世代に偏っている。

政策対応としては、住宅ローン保有世帯に一律の給付や利子補給を行うことは慎重に考える必要がある。住宅ローンには固定金利という選択肢があり、変動金利を選んだ世帯は、低い金利の恩恵と引き換えに金利上昇リスクを負ってきたためだ。また、所得に比べて過大な借り入れを行った世帯まで公費で救済すれば、固定金利を選んだ世帯や住宅を持たない世帯との公平性を損ないかねない。

異なる高さに積み上げられたコインの上に立つ人形たち
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世代間の偏りを放置していいのか

まず必要なのは、金融機関に対し、金利がさらに上昇した場合の返済額や総返済額を借り手に分かりやすく示すよう求め、固定金利への切り替えや借り換え、繰り上げ返済を早期に検討できる環境を整えることである。そのうえで、失業や病気、予期しない所得減少などによって返済継続が困難となった世帯に対するセーフティーネットを整備すべきだ。

もっとも、40代後半が直面する問題の根底には、住宅ローン負担だけでなく、賃金の伸び悩みがある。就職氷河期世代を中心に、非正規雇用者に限らず、正社員であっても賃金が上がりにくい層を対象として、職務に直結するリスキリングや成長分野への転職支援を拡充する必要がある。自助努力を可能にする情報提供と所得向上策に、真に返済が困難な世帯への支援を組み合わせた対応が求められる。

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