「ひょっとすると死んじゃうかも」は罪に

法律的にはこれは結構危険で、「このまま大量に薬を使うとひょっとすると死んじゃうかも」と明確に思っていると、いわゆる未必の故意が問われて、罪になることがあります。

ただ、現在は緩和ケアが発達してきたので、こうした間接的安楽死はあまり問題にならなくなっていると言えます。

鎮痛剤の量を適切にコントロールすることができるようになって、「鎮痛剤の与えすぎ→死」というのを避けることができるようになってきたからです。

病院の外来入口の案内板
写真=iStock.com/Erman Gunes
※写真はイメージです

一方、海外では自殺幇助も安楽死の仲間に入れられることがあります。もちろんその場合も、苦痛を取り除くのが目的で、かつ、本人の意志によることが前提です。

海外では「自殺幇助」が認められる国も

この2つの前提がない場合、つまりいわば単に自殺しようとする人を手助けする場合と区別するために、こういう安楽死に近く見える自殺幇助のことを「医師(による)自殺幇助」と言います(英語だと、physician-assisted suicideで、PASという略語も使われます)。

ただ、本稿では、自殺幇助を安楽死に入れる利点と難点を考えて、悩みぬきましたけど、別立てにしました。

私だって自殺幇助はどうでもいいと思っているわけじゃないのですが、自殺幇助を安楽死の仲間に入れるのと、自殺幇助と安楽死を区別するのとでは、どっちが話がややこしくなるかを考え、そのややこしさを少しでも軽くしようとしたからです。

それと、これはおまけではあるけど、日本では安楽死についての法的規定はないけど、自殺幇助は法で明確に禁じられているということもあります。

「スイスの安楽死」は「安楽死」ではない

ただ、だからこそ、海外で「安楽死」と言われているものには、自殺幇助が含まれることは確認しておいた方がよいと思います。

例えば、海外のニュースでassisted suicide(つまり自殺幇助)と言われているものを、日本のニュースや解説で「安楽死」と訳している場合があります。

「スイスでの安楽死のドキュメンタリーを見ました」と学生さんがよく書いてくるのですが、実際にはスイスでは安楽死は禁止されており、認められているのは自殺幇助の方です。

自殺幇助を入れると、非常に広い意味で漠然と「安楽死」と呼ばれているものは4種類もあることになります(!)。だけど、私は自殺幇助は別にした方がよいと考えました。

また、間接的安楽死もあまり考える必要がないとすると、結局は積極的安楽死と消極的安楽死(治療中止)の2つで考えるということで、ひとまずいいのではないかと思います。

ただ、言葉遣いから無用の混乱が起こっていることを考えると、ここでは安楽死の仲間に入れなかった自殺幇助や間接的安楽死を「安楽死」と呼ぶ場合があるということは知っておいた方がいいだろうと思います。