人件費の割合でわかる本当に良い施設

賃金体系や労働環境です。当然、賃金が高く、労働環境が良い老人ホームのほうが、質の高い介護職員が多いと判断することができます。

一般的な老人ホーム事業における適切な人件費率は売上の50%程度(満室だった場合)です。

人件費を表すブロックと電卓
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そして、この50%を老人ホームで働いている全職員で分配します。なお、この50%の人件費の中には、経営者や本社職員の報酬や賃金は入っていません。求人サイトや広告に記載された条件を基に、職員数や会社が負担する社会保険料などを加味して試算をしてみると、皆さんの老人ホームリテラシーは確実に上がります。ぜひ、試してみてください。

老人ホームの良しあしのほぼすべては「人事戦略」で決まると言っても過言ではありません。そして、人事戦略の基本の基は、賃金体系と労働環境です。賃金が高く、労働環境の良い老人ホームには、多くの応募者が集まります。多くの応募者が集まれば、その中から当該ホームに適した職員を厳選することができます。

人手が足りない施設で起きる悪循環

逆に、低賃金で労働環境も悪い老人ホームには、応募しようという職員がなかなか現れません。応募者がいないわけですから、応募者発生、即、採用という、誰でも良いので人が欲しいという発想になってしまいます。これでは、良い職員の獲得はほとんどできません。このようなホームは質が悪いと判断して良いと思います。

したがって、この理屈がわかっている経営者は、1円でも多くの賃金を現場職員に支払うことに神経を使っています。だからこそ、職員の顔色や現場の些細な変化にも敏感に反応できます。自らへの待遇・処遇が手厚いと、職員は自分たちの仕事を経営者がしっかり見てくれていると考えるので、仕事に対するモチベーションは高まります。結果として、介護の質は上がっていくというわけです。

老人ホームの運営は、清濁せいだく併せ吞むことを大前提として成り立っているという事実があります。まさに、渋沢栄一のいう「論語と算盤」であり、二宮尊徳のいう「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」です。

倫理と数字のトレードオフを常に意識しながら、今回はどうするべきかを考えるジレンマの世界。これが老人ホーム運営の本質でもあります。例を挙げましょう。