チーム全体の優れた業績に報いる方法とは

チームの力を最大限に引き出すためには、個々のメンバーではなくチーム全体に報酬や称賛を与えることが大切だと言われてきた。だが、実行は容易ではない。ほとんどの経営管理システムが個人のパフォーマンスをきわめて重視しており、それによって促進したいと思っている当のチームワークが損なわれる場合はなお難しい。しかし自社の評価プロセスや報酬体系を見直さずとも、マネジャーは行動を後押しするために必要なあらゆるツールを手にしている。

数十年前には、企業は個人のパフォーマンスを査定し、それに対して報酬を与える方法を見つけるために苦闘していた。だが、それを追い求めるなかで多くの企業がゆきすぎてしまったと、マイケル・マンキンズは言う。ベイン・アンド・カンパニーのパートナーで、『Decide and Deliver: Five Steps to Breakthrough Performance in Your Organization』の共著者でもあるマンキンズによれば、「振り子が振れすぎて、今ではそうした査定方法がよいチームを形成する妨げになっている」。その一方で、協働に対して報酬を与えるのは難しいと、デボラ・アンコナは指摘する。

マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院教授で『X-Teams: How to Build Teams That Lead, Innovate, and Succeed』(邦訳『Xチーム』)の共著者でもあるアンコナは、「チームの境界はたいていぼやけており、人々は同時に複数のチームに関わっているので、協働に対して報酬を与えるのは、マネジャーにとって容易ではない」と言う。それでも、アンコナもマンキンズも、それを適切に行う努力をする価値はあると言う。「チームに報酬を与えると、チームのパフォーマンスだけでなく個人の経験知も劇的に向上する」と、マンキンズは主張する。それを効果的に行う方法を説明しよう。