何が報酬になるかはその人次第だが……
ほとんどのマネジャーには、自社の給与やボーナスの決め方を変える権限はない。その権限がある場合は、自分の裁量で決められる報酬の一部をチームや部署のパフォーマンスに連動させよう。連動させる割合は大きければ大きいほどよい。だが、財布の紐を管理する権限がない場合も、思い悩む必要はない。
マネジャーの裁量で決められる非金銭的報酬がたくさんあるからだ。「チームの夕食会や社交イベントといった枠を超えて考えよう。そのような行事には限られた効果しかない」と、マンキンズは言う。アンコナが調べた事例のなかには、感染率を大幅に低下させたグループの写真を目立つ場所に張り出して、彼らの優れた仕事ぶりを称えている病院がいくつかある。メンバーに上級リーダーたちと接触する機会を与えるのも一案だ。「チームのメンバーは、自分が高いレベルで会社に貢献するプロジェクトの一翼を担っているとみられたがっているものだ」と、アンコナは言う。
言うまでもなく、報酬が動機づけ効果を持つのはチームが望んでいるものを報酬として与える場合だけだ。だが、どのような報酬に感激し、意欲をかきたてられるかは人によって異なる。メンバーについてよく知ることに時間をかけ、すべてのメンバーが喜ぶものを探そう。
集団としての活動に議論の焦点を絞ろう
チームワークは多くの企業のリーダーシップ開発モデルにコア・コンピテンシーとして組み込まれていると、アンコナは言う。マネジャーはメンバーを個人の集団としてではなくチームとしてとらえることで、彼らの協働をより一層促進することができる。全体のこととして成功を称え、失敗について話し合おう。「個人の貢献に言及することは、少なければ少ないほどよい」と、マンキンズは言う。他人のプロジェクトに力を貸すとか、同僚に率直なフィードバックを与えるといった、チーム全体に貢献する行動を称賛しよう。
個人のパフォーマンス評価に加えて、チームのパフォーマンスも評価することを検討しよう。アップルやグーグルのような企業は公式の評価プロセスの一環に取り入れているが、単独で行ってもよいとマンキンズは言う。6カ月程度の間隔でグループの進捗状況を詳しく観察し、何を達成したか、どの点で成功したか、どうすればさらに向上できるかを説明しよう。この評価では個人に言及してはならず、チームで成し遂げたこと、成し遂げられることに焦点を絞ろう。