“全方位”戦略で死角なし
国立社会保障・人口問題研究所の最新データ(2020年時点)によると、50歳時未婚率は男性が28.25%(3.5人に1人)、女性が17.81%(5.6人に1人)となり、調査のたびに数字は拡大している。
すでに人口減少局面に入って久しい中、ファミリー層だけに特化しても、市場が先細ることは明らかだ。前段で触れた「1人来店者にも優しい/入りやすい」はま寿司のイメージが浸透する効果は、将来にわたって大きく影響する可能性がある。ここでも、ゼンショーHDグループ内の中心事業であり、1人来店者が中心であるすき家事業のノウハウも活用されているものと考えられる。
また、円安移行などを背景に堅調が続く訪日外国人客のインバウンドニーズを取りこぼさないための対応にも抜かりはない。朝7時から開店している店舗もあるほどだ。
はま寿司の「論理的」な強さ
他方、先にも触れたように、飲食業には、かねて人手不足の実情が認められる。厚生労働省と東京商工リサーチの直近の調査でも、飲食関係の有効求人倍率は全業種平均を大きく上回り、人手不足の関連倒産も急増しているなど、業界の切迫ぶりは数字上も明らかだ。
帝国データバンクなどの調査では、飲食関係事業者の約4割が外国人を雇用している。食の好みは人それぞれゆえ、顧客の数だけ異なる微妙なニュアンスを汲み取ることは、日本語を母国語としない外国人にとってかなりの壁となっているようだ。
しかし、顧客自身がタブレットなどでリクエスト内容を選択・承認して発注する回転寿司では、他の飲食店に比べこの工程をほぼ全て割愛できる。外国人労働者の間に「はま寿司のようにシステム化が徹底された回転寿司であれば働きやすい」という評価が定まれば、採用面でも優位に立ち、同社の強みをさらに盤石なものにするだろう。
店舗特化とエンタメで王道を行くスシローに対し、川上からの垂直統合、実用性とコスパ、そして、おひとり様まで取り込む全方位の戦略で猛追するはま寿司。絶対王者を脅かす後発の強みは論理的であり、当面はま寿司の死角は見当たりそうにない。
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