回転寿司は「システム産業」へ
「料理がレーンで運ばれてくる」という店舗設備を持つ回転寿司は、文字どおりのシステム産業だ。王者スシローも、猛追するはま寿司も、ともにシステムに多大な投資を行うことで差別化を図っているが、その「投資の対象」に両者の決定的な違いがある(図表3)。
スシローは、実際の顧客の購買(飲食)動向をデータ化し、蓄積・活用している。膨大なデータを高速・高精度に分析できるプラットフォームへ移行し、廃棄ロスを従来の4分の1まで縮減させた。つまり、徹底して店舗でのオペレーション、すなわち「川下部分」の最適化に注力している。
一方、はま寿司は「科学的な生産管理体制の構築が顧客満足度を高める」という仮説に沿って、ゼンショーHDグループ一体になってシステム構築を進めてきた。グループ内では、「マス・マーチャンダイジング・システム」を略したMMDと呼ばれている。
卓上に醤油が5種類も並ぶワケ
この考え方に沿って、原材料調達や加工のため、ゼンショーライス(コメ卸)、サンビシ(醤油製造)、日本発展商事ホールディングス(地場商品の仕入れ)など、買収企業の機能を活用している。この結果、はま寿司ではどの席上にも醤油類5種が並んでいる。
つまるところ、はま寿司は店舗だけでなく「川上部門」からの一貫した垂直統合に投資を行っているのだ。できる限りグループ内で完結させることで、安全性・迅速性と低コストを両立させる狙いがある。
7月13日に食料品大手ニチレイのサーバーへの不正アクセスにより、同社の低温物流施設を利用していたケンタッキー・フライドチキンが臨時休業や一部商品販売休止に追い込まれた事態は記憶に新しい。外部の冷蔵倉庫を利用する他社がシステム障害のあおりを受けて欠品を余儀なくされる中、はま寿司は垂直統合モデルによって、このようなリスクを可能な限りグループ内だけに留め置くよう徹底管理する方針が活きている。
![【図表3】回転寿司大手3社のシステム概要[主要事項抜粋]](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/7/6/540wm/img_76d883aa4896c09466fd607d4aa54f6c848372.jpg)

