ビタミンDの「もう一つの役割」

「最近、つまずきやすくなった気がする」
「足元がなんとなく頼りない」

そんな変化を感じていても、「もう年だから仕方ない」と思って、そのままにしていないでしょうか。

もちろん、加齢による変化はあります。ですが、つまずきやすさや足元の不安定さの背景には、栄養不足が関わっていることもあります。そのひとつが、先述したビタミンD不足です。

ビタミンDは、腸でカルシウムの吸収を助け、骨の健康を守るうえで欠かせない栄養素ですが、近年では、ビタミンDが筋肉のはたらきにも深く関わっていることが分かってきました。不足すると筋力が落ちやすくなり、体のバランスも崩れやすくなります。その結果、ふらつきや転倒のリスクが高くなることがあるのです。

とくに気をつけたいのが、高齢になるほどビタミンDが不足しやすくなることです。日本人では、ビタミンDが足りていない人が少なくないとされ、とくに女性で不足している人が多いことも報告されています(注)

注:Nakamura K, Kitamura K, Takachi R, et al. Impact of demographic, environmental, and lifestyle factors on vitamin D sufficiency in 9084 Japanese adults. Bone. 2015;74:10-17.

ビタミンDを増やせる“0円行動”

お金をかけずにできるビタミンDの補給方法のひとつが、日光を適度に浴びることです。ビタミンDは、紫外線を浴びることで皮膚でもつくられます。

日光を浴びる高齢女性
写真=iStock.com/gpointstudio
※写真はイメージです

散歩に出る、庭やベランダで少し外の空気に当たる――そんな毎日の小さな習慣も、ビタミンDを保つ助けになります。

ただし、必要な日光の量は季節・天候・地域・肌の露出の程度によって変わります。ですので、「1日何分で十分」と一律には言えませんが、無理のない範囲で少しでも外に出る時間をもつことが大切です。

食事では、「鮭」が代表的なビタミンDの供給源です。鮭の切り身1切れでも、かなりの量のビタミンDを摂ることができます。鮭缶も便利で、保存しやすく手軽に使えるのでおすすめです。

このほか、しらす干し、干ししいたけ、卵黄にもビタミンDが含まれています。毎日同じものばかりでは飽きてしまいますから、こうした食品を少しずつ組み合わせていくのが続けやすい方法です。

また、ビタミンDは油に溶ける性質を持っています。そのため、油を使った料理と組み合わせると吸収されやすくなります。