「キャンプ好きのアウトドア派」として検索

言い出しっぺの私(41歳男性)はYouTube視聴班の一人となり、趣味のキャンプ動画を見始めた。作ったばかりのグーグルアカウントからYouTubeアプリにログインすると、お馴染なじみの赤いアイコン以外は真っ白で、おすすめ動画で埋め尽くされたページを見慣れていた目には新鮮に映った。

新しく作ったグーグルアカウントでYouTubeアプリを立ち上げると、動画は1本も出てこず「まずは検索してみましょう」の文字が表示された(出典=『ルポ アルゴリズム政治』(朝日新書))
©朝日新聞社
新しく作ったグーグルアカウントでYouTubeアプリを立ち上げると、動画は1本も出てこず「まずは検索してみましょう」の文字が表示された(出典=『ルポ アルゴリズム政治』(朝日新書))

動画はまだ一つも表示されておらず、検索窓と「まずは検索してみましょう おすすめ動画を表示するには、まず動画を視聴しましょう」の文字。まさに「白紙状態」というわけだ。

最初の検索ワードは「ファミリーキャンプ 山梨」と入れてみた。週末になれば家族と一緒に長野や山梨方面のキャンプ場に通うアウトドア派としては、違和感のない選択だ。

真っ先に表示されたのは、山梨県の富士五湖の一つ、西湖の湖畔にあるキャンプ場を紹介する動画だった。家族キャンプの動画をたくさんアップしているチャンネルのもので、再生回数はこのとき9863回。動画を5分見ると、続いて関連動画の一番上に表示された動画を見た。最初の動画と同じキャンプ場を紹介する、別のチャンネルの動画だった。

さらにこの動画の関連動画の一番上のものを見ると、すぐ近くの別のキャンプ場を紹介する動画。配信者は前二つとは違うチャンネルだった。

いずれも、一般の人がキャンプを楽しみながらキャンプ場を紹介するという似通った構成で、再生回数も9000~1万回前後。新規アカウントに他に視聴履歴がないからだろうか、かなり類似性の高い動画を薦めてきた。

「編み物好き」と「釣り好き」も参入

YouTube視聴班の残り2人も、編み物が趣味の女性記者(30代)が「編み物 初心者」の検索ワード、釣りが趣味の男性記者(30代)が「釣り 福岡」の検索ワードを入力し、それぞれ趣味に関する動画視聴を始めた。

編み物動画を見た記者は、最初の1本が登録者数約10万人という比較的人気のある編み物チャンネルの動画で、残りの2本も同じチャンネルの別の動画だった。釣り動画も同様、最初に見た動画が登録者数約16万人の釣りチャンネルのもので、残り2本もこのチャンネルが配信している動画だった。

翌朝、実験用の新規アカウントからYouTubeアプリを開き、どんな動画が並んでいるかを確認してみた。すると、トップに表示されていたのは富士五湖近辺の湖畔のキャンプ場を紹介する動画だった。

前日見た3本の動画と似た内容で、配信者は違った。スマホの画面をスクロールしていくと、同じような一般人が配信しているキャンプ動画のほか、キャンプ好きとして知られる芸能人の動画などがあった。上位10位までの動画を記録したところ、10本中5本がキャンプ関連の動画になっていた。

YouTubeがさっそく私を「キャンプの動画をよく見る人」と認識し、表示欄を調整していることがよく分かった。