ネガティブな状況下で、一流はどんな言葉を使うのか。スピーチコンサルタントの阿部恵さんは「ネガティブな状況をそのまま伝えるのではなく、次につながる前向きな言葉に変えることは、重要な技術だ。例えば、青山学院大学陸上競技部の原晋監督は、第100回箱根駅伝の直前にアクシデントがあった際に、逆境を前向きな言葉へと変換し、チームを鼓舞した」という――。
※本稿は、阿部恵『一目置かれるリーダーの戦略的話し方』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
NG発言をOK発言に変える視点と言葉
政治家や企業トップの発言が炎上する場面は、決して珍しくありません。しかし、こうした発言の多くは、必ずしも悪意から生じているわけではなく、多くの場合、「視点の置き方」と「言葉の選び方」に問題があるケースがほとんどです。
NG発言を防ぐ一番の方法は、「誰の立場で語るか」を考えることです。
トップリーダーの言葉は、多くの人に届きます。テレビの向こうの視聴者、SNSのフォロワーやユーザー、その発言の当事者。さまざまな立場の人が、その言葉を受け止めます。だからこそ、自分の立場だけで語るのではなく、聞く側の視点を想像することが重要です。
具体的には、次の2つのポイントに気をつければよいでしょう。
ポイント①:視点を「自分」ではなく、「相手」に置く
リーダーが発言するとき、「自分はこう思う」という言い方だけでは、誤解を招くことがあります。「相手がどう感じるか」「当事者はどう受け取るか」を想像しましょう。
特に、災害や生活に関わるテーマでは、発言を聞く人の中に当事者がいる可能性があります。その人たちの立場に立って考えれば、言葉の選び方は自然と慎重になるはず。聞き手の視点を意識するだけで、言葉の伝わり方は大きく変わります。
ポイント②:強い評価言葉を避ける
「意味がない」「排除する」といった強い言葉は、この部分だけを切り取られた場合、相手を傷つけたり、対立を生んだりする可能性があります。評価を断定するよりも、状況や姿勢を語るほうが、メッセージは伝わりやすくなります。

