他人のためにお金を使うと強い充足感を得る

人間は、体が弱ってきたり、認知症が重くなってきたりすると、意外とお金が使えません。旅行やグルメを楽しむ体力も気力もなくなりますし、老人ホームの費用も、たいがいは厚生年金の範囲で収まります。そして、皆さん、一所懸命に節約して貯金しなくてもよかったんだ、もっと使っておけばよかったと後悔するわけです。

人生も終わり間際になって、後悔に歯噛みして毎日を過ごすなんて、私はまっぴらです。体も心も元気で、頭もしっかりしているうちに、お金をどんどん使って人生を楽しむべきです。

お金を使うことによって、人から感謝されたり、優しくされたりするのは事実です。買い物をすれば、お店の人もよくしてくれます。そういった周りからの反応によって機嫌よく過ごせるのであれば、そうしたほうがいいのです。

高齢になってからのお金はそのためにあるといってもいいでしょう。お金は持っているよりも、使ってこそ価値があります。いまこそ、考えかたを改めるときです。

デパートで買い物をするアジアのシニア女性たち
写真=iStock.com/CandyRetriever
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まずは、自分の楽しみにお金を使うこと、余裕があれば、他人のためにも使うことで、強い充足感が生まれます。

それが、心の健康や免疫力アップにつながり、老いを遅らせることにつながります。

奮発して楽しんだ思い出は一生の財産に

実はお金を「何に使おうか」と考えるだけでも、前頭葉は働きます。ちょっと奮発して欲しかったものを買ったときに、気分がガッと上がり「明日から、また頑張るぞ!」とやる気が湧いてきた経験があると思います。これが、前頭葉が刺激されている証拠です。

質素倹約を心掛けている人でも、たまには贅沢したほうがいい。たまの贅沢で、前頭葉は刺激され、心も豊かになります。

私は、贅沢な経験が支えになったことがあります。その話をさせて下さい。

ワインが好きなので、仕事で頑張ったなと思えると、いいワインを飲む習慣があります。お金はかかりますが、美味しいワインを飲んでいるときは、私にとって至福のときなのです。

そんな私も、コロナ禍でワインどころではなくなりました。

代表を務めている通信教育の会社のお客さんが激減してしまったのです。同時に、講演などの依頼もどんどんなくなり、毎月のマンションのローンが払えない状況にまで陥りました。そのため、借金もつくりましたし、いつか大事なときに飲もうと思っていたワインを泣く泣く売りにも出しました。

でも、そのとき「高いワインを買って贅沢をしなければよかった」などというはまったくしませんでした。「美味しいワインを飲む」という経験ができたことに満たされていましたし、このまま貧乏になったとしても、あのときの経験を糧に生きて行けるとさえ思ったのです。

幸い、コロナ禍が終わって、どうにかなったのですが、あのときの経験から「奮発して楽しんだ思い出は、自分を支える一生の財産になる」と気づかされました。

実際、ホームに入っている高齢者のかたたちも「若い頃、こんなすごい経験をした」「あのときは大金をスッてすっからかんになったけど、あんなに愉快だったことはない」などと、お金を使ったときのことを、楽しい思い出として語るのです。その姿は、いつも生き生きとしています。

寝たきりになったとしても、そういう輝く思い出こそが、その後の人生を支えてくれます。これこそ、生きたお金の使いかたといえるでしょう。