自傷は死ぬためでもアピールでもない

自傷を「周囲の関心を集めるため」「アピール的行動」と受けとる人もいるようですが、それは見当違いです。

ほとんどの自傷行為は人目につかない場所で、しかもひとりきりで行われています。他者に「自傷行為をした」と告白する人も多くはありません。

こうしたことから自傷行為は「人の気を引くため」というよりも、「つらさに対処するための孤独な行動」として理解すべきです。

自傷には、精神的な苦痛をやわらげようとする気持ちが隠れているのでしょう。苦痛に満ちた世界に耐え忍ぶために、自分を傷つけている。自傷により、死なずにやり過ごしているのです。

しかし、くり返される自傷は、将来、自殺につながることも多いと言われます。自傷は「たいしたことのない行動」ではなく、子どもの心が出しているSOSとして受け止める必要があります。

手首にHELPと書いた包帯を巻いた若い女性
写真=iStock.com/PeopleImages
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多くの大人が子どもの自傷に気づけていない

松本俊彦・今村扶美による一般の中高生2,974人を対象とした調査によると、中高生で「自分の体を傷つけたことがある」と答えた生徒は、女子生徒のほうがやや多かったものの、男子生徒にも相当数おり、全体でおよそ1割に上っています。

一方、学校が把握している自傷した生徒の割合を調べたところ、0.33〜0.37%に過ぎませんでした。

このギャップが示すのは、10代の若者にとって自傷は「1クラスに数名いても不思議ではない」ほど、ありふれた現象であるにもかかわらず、学校側はそのうちのごく一部(わずか30分の1)しか認識していないということです。

多くの子どもたちが、親や先生など大人の知らないところで密かに自分を傷つけ、苦しんでいるかもしれません。