自傷は自殺予防の入口として重要

自傷は自殺そのものではありませんが、放置してよいものでもありません。

松本俊彦『希死念慮と自傷のことがよくわかる本』(大和出版)
松本俊彦『希死念慮と自傷のことがよくわかる本』(大和出版)

こども家庭庁や厚生労働省は、自傷行為歴や自殺未遂歴のある子ども・若者を、「とくにていねいな危機介入が必要なハイリスク群」と位置づけています。

自傷に気づくことは、苦しさを抱えた子どもに大人が近づくための、大切な入口です。

ファヴァッツァとコンテリオが自傷をくり返す人を対象に行った研究では、反復する自傷には摂食障害や飲酒問題、OD(オーバードーズ)などさまざまな問題行動が重なりやすいことも示されています。

一つひとつの行動はそれほど深刻に見えなくても、じつは背後に自傷行為が隠れている可能性もあります。

大人は子どもの行動を「たいしたことない」「一過性のもの」などと単発で判断するのではなく、さまざまな行為を広い視野で観察し、「自己破壊的行動の連続線」として注視していくことが大切です。

子どもは自傷によって心の痛みを体の痛みに置き換え、なんとかつらさをしのいでいます。

自傷・自殺をやめさせるために、学校では自殺予防の啓発教育が行われています。

でも、「自殺はいけない」と先生に言われ、自分を傷つける行為をやめられる子がどれほどいるでしょうか。周囲の大人たちは、まず、子どもの話に耳を傾け、心の奥底の苦しさを理解することからはじめなくてはなりません。

「消えたい」「死にたい」という気持ちは、決して特別なものではありません。いま苦しんでいる本人も、わが子のサインに気づいて戸惑っている大人も、ひとりで抱え込まず、相談窓口に連絡してください。

【相談窓口】
〈子ども本人が相談できる窓口〉

■24時間子供SOSダイヤル(文部科学省)
TEL:0120‐0‐78310(24時間・通話無料)
いじめ、不登校、友人関係など学校生活の悩みを相談できる。子ども本人だけでなく保護者も相談可。

■学校の相談窓口
担任、養護教諭、スクールカウンセラーなど、本人が話しやすい人を窓口に。学校生活で起きていることを整理する際に役立つ。


〈大人も子どもも相談できる窓口〉

■こころの健康相談統一ダイヤル(つらくて切羽詰まったとき)
TEL:0570‐064‐556
都道府県ごとの相談機関につながる公的な電話窓口。対応する曜日・時間は地域によって異なる。

■精神保健福祉センター(専門家とつながりたいとき)
「精神保健福祉センター+地域名」で検索
精神科医などの専門職が常駐。思春期のこころの相談(自傷・希死念慮を含む)や家族からの相談に対応。匿名相談ができることも多い。

■保健所・保健センター(まずだれかに相談したいとき)
「保健所」「保健センター+地域名」で検索
地域の保健相談の入口。相談は無料で秘密も守られる。受診すべきか迷うときの最初の相談先にも。

■こども家庭センター(家庭全体の問題を支えてほしいとき)
「こども家庭センター+地域名」で検索
こどもと家庭への一体的な相談支援を担う窓口。医療・学校・福祉との連携調整にもつながり、長く見守ってくれる。

■厚生労働省「まもろうよ こころ」(自分に合う相談先を探したいとき)
URL:https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/
地域別・悩み別に相談窓口を検索できる。親自身がつらいとき、どこに相談したらよいかわからないときの入口に。

【関連記事】
「ADHDグレー」と診断された子どもたちが高確率であてはまる幼少期からの「危険な習慣」
日本人に突出して多いのはA型だが韓国は全く異なるのはなぜか…"血液型に刻まれた人類の進化と適応の歴史"
なぜ日本人夫婦の3組に1組が離婚するのか…「価値観の違い」でも「セックスレス」でもない本当の原因
「Wi-Fi切ったら大暴れ」したけれど…無口だった「不登校の息子」の心を開いた"母親の神対応"
「頭のいい子が育つ家庭」の食卓には出てこない…朝ごはんのパンに塗りがちな「脳に悪影響でしかない食品」とは