総額約300万円を失った70歳の男性

さまざまな年金があり、知らない・申請し忘れによって本来もらえていたはずの年金が受け取れず損する人は多くいます。実際に損をしたケースを3つご紹介しましょう。

【特別支給の老齢厚生年金】

1955年(昭和30年)10月生まれのAさんは繰り下げ受給を希望していたため、昨年70歳になったことを機に年金受給の手続きをしましたが、その時に初めて「特別支給の老齢厚生年金」のもらい忘れに気が付いた、といいます。

机にノートを置いてストレスを感じているシニア女性
写真=iStock.com/recep-bg
※写真はイメージです

Aさんの場合、62〜64歳の3年間で受け取れるはずだった年金額は総額約300万円。しかし、すでに5年の時効が成立しており、約300万円が受け取れなくなってしまいました。

通知は来ていたようなのですが、繰り下げ受給を希望していたため、内容をよく読んでいなかったのが悪かったようです。繰り下げ受給を希望している方でも、65歳前に受給できる「特別支給の老齢厚生年金」は別になりますので、必ず請求手続きをして受け取るようにしてください。

この「特別支給の老齢厚生年金」には繰り下げ受給の仕組みはありませんので、請求をしないで放置し続けても増えることはなく、時効のリスクが高まるだけになります。なお、この年金を受け取っても65歳以降の公的年金は手続きが別になりますので、繰り下げ受給は可能になります。

日本年金機構からの通知は放置せず、必ず開封して内容を確認するようにしてください。

72歳女性が見落としていた企業年金の存在

【企業年金】

短大を卒業後、3年間ほど中小企業でOLとして働いていた女性Bさんは、結婚を機に退職し、その後は専業主婦として生活してきました。65歳以降は国民年金(基礎年金)のみを受給していましたが、72歳になった今年、息子から「企業年金も受け取れるのでは?」と指摘され、初めて企業年金の存在に気づいたといいます。

ちなみに、公的年金は偶数月の15日に振り込まれますが、企業年金は年金額に応じ年間の振り込み回数は違っており振り込み日は1日となっています。

企業年金は、厚生年金基金や確定給付企業年金の制度がある会社に勤めていた場合、短期間の勤務でも受給できる可能性があります。しかし、結婚で名字や住所が変わったり、実家が引っ越してしまったりすると、企業年金連合会からの通知が届かないことがあります。

Bさんもまさにこのケースで、企業年金連合会に問い合わせたところ、本来であれば60歳から受け取れるはずだった「特別支給の老齢厚生年金」と、65歳以降に受け取れる企業年金の一部が未請求のままになっていたことが判明しました。

企業年金連合会の年金は、「時効5年」が適用されています。そのため、Bさんが受け取れたのは過去5年分のみで、60〜64歳の特別支給の老齢厚生年金(約40〜60万円)と、65〜67歳の企業年金(約15〜25万円)を合わせた金額を受け取り損ねてしまったことになります。

厚生年金基金や確定給付企業年金の制度がある企業に勤めていた方は、短期間の勤務でも企業年金連合会から年金が支給される可能性があります。

結婚や独立で会社をやめてしまい、国民年金だけしかもらっていない人は多くいます。1カ月でも厚生年金基金のある会社で働いたことがある方は、念のため企業年金連合会に問い合わせて確認してみてください。