繰り下げ受給で「損をする」落とし穴
繰り下げ受給を選択しても加給年金や振替加算は増額の対象になりませんし、繰り下げ待機期間(年金を受け取っていない期間)中は、加給年金額や振替加算を受け取ることができません。ですから、加給年金額も考慮してシミュレーションを行い、繰り下げるべきかどうかを判断しましょう。
加給年金とは、厚生年金の加入期間が原則20年以上ある人で、生計を維持する配偶者や子がいる場合に、その老齢厚生年金に上乗せして支給される年金です。ですから、厚生年金の加入期間が20年なければ受給できません。
なお、老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々で繰り下げができますので、老齢基礎年金だけを繰り下げて、老齢厚生年金のみ65歳から受給すれば、加給年金を受給することが可能となります。
自営業者の場合、国民年金基金に加入している人もいるでしょう。国民年金基金には老齢基礎年金のような繰り下げ受給の仕組みはなく、原則として65歳といった決められた年齢から受給を開始します(※)。つまり、繰り下げによる増額はありません。
老齢基礎年金は繰り下げを選択しても、国民年金基金は決められた年齢に到達した時点で請求を行い、受給をスタートすることになります。
※加入している型によっては60歳から受給が始まるものもあります。
5年我慢して年金額を増やすはずが…
年金を受給せず繰り下げている間(繰り下げ待期期間)に亡くなってしまい、「年金を1円ももらえずに亡くなってしまった」とか、長い期間待ってやっと繰り下げ受給を開始したにもかかわらず間もなく亡くなってしまい「繰り下げ受給なんかしなければよかったのに」と遺族などが後悔するケースもあります。
また、生きている間に繰り下げしたことで損することもあります。
まず、70歳まで繰り下げ予定で待機しているAさんが、69歳で亡くなったケースをご紹介します。
Aさんは、途中で繰り下げを取りやめて65歳時点の年金を受け取ることもできましたが、「70歳まで繰り下げれば得になるはず」と考えて繰り下げを続けたため、結果的に年金を1円も受け取らないまま亡くなりました。
しかし、Aさんの遺族は請求することで、「未支給年金」を受け取ることができます。
「未支給年金」とは、本人がもらえるはずだった年金を遺族が最大5年分をまとめて受け取れる仕組みです。亡くなる前に入院などで医療費がかかってしまった場合、遺族にとってはとても助かる制度です。

