医療費+介護費で最低200万円は準備を

老後期間の後半は、医療や介護で大きなお金のかかる期間です。この期間のために繰り下げ受給で年金を増やしておくこと自体は非常にメリットがあります。

お金と貯金箱と老人のシルエット
写真=iStock.com/MonthiraYodtiwong
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厚生労働省「生涯医療費(令和5年度)」によると、1人当たりの生涯医療費は2966万円で、そのうち65歳以降の医療費は1633万円(生涯の55%)を占めます。自己負担は年齢により異なりますが、後期高齢者では約8%、後期高齢者以前では19.1%とあるため、老後の医療費の自己負担は130〜300万円程度が目安となります。

また、厚労省「介護給付費等実態統計(令和6年度)」によれば、介護サービスの平均費用は月20万6300円。自己負担は1〜3割のため、月2〜6万円程度の負担が平均的なレンジです。

介護期間の平均(約5.5年)を踏まえると、介護の自己負担総額は130〜400万円程度が一般的です。

【図表2】医療費と介護費の自己負担額の目安

老後は何が起こるかわかりません。繰り下げ受給の待機期間中に、医療や介護で資金が必要になった場合、申請をすれば翌月分から年金は受け取れますので、生活に余裕があるのであれば「とりあえず繰り下げ受給」を選択しておいて、必要に応じて受給を開始するようにしておくのもいいでしょう。

まとまった金額が必要な人向けの「特例」

さらに、「特例的な繰下げみなし増額制度」というものもあり、繰り下げ待機中に過去にさかのぼってまとめて年金をもらうことも可能です。

ただし、こちらもさかのぼれる期間は「5年分まで」という決まりがありますので、ご注意ください。

例えば、72歳まで年金受給しなかった人が過去5年分を一括請求する場合、5年前に繰り下げの請求があったものとみなして、増額された年金を5年分一括で受け取ることができます。

つまり、72歳時点の増額分(+58.8%)ではなく、5年前の67歳時点での増額分(+16.8%)で計算された5年分の年金額と、翌月からも67歳時点での増額分(+16.8%)での年金月額を今後生涯受け取ることになります。

過去分を一括受給しても、過去の年分にさかのぼって課税・修正申告・延滞税が生じることはありませんが、一括で受け取った年の所得として、その年分にまとめて課税されることになりますので、ご注意ください。

【図表3】本来の年金をさかのぼって受け取る場合の増額制度(特例的な繰下げみなし増額制度)
※日本年金機構「老齢年金ガイド令和8年度版」より(P12)