長寿な高齢者ほど肉・魚・卵を食べている
柴田先生らが1972~73年にかけて行った、100歳以上の高齢者100名を対象とした訪問調査を振り返ると、驚くべき事実が見えてきます。当時、彼らの総エネルギー摂取量は約1000kcal と、日本人の平均と比較して半分程度でした。体格が小さくなり活動量が減ることを考えれば自然なことですが、問題は「何を食べていたか」です。
調査によると、当時の日本人平均と比較して、脂肪の摂取割合はほぼ同じ水準(図表2)でしたが、特筆すべきは、動物性たんぱく質の摂取割合が、一般の日本人より明らかに高かったという点です(図表3・4)。要するに、100歳を超えてなお元気な方々は、世間でイメージされがちな「野菜中心のあっさりした粗食」ではなく、肉や魚、卵といった動物性たんぱく質を日常的にしっかりと食べていたのです。
心身を支える材料が、元気な百寿者たちの食卓には溢れていました。彼らの生き生きとした姿は、まさに栄養状態の良さが長寿の基盤であることを体現しています。むろん、これらのデータは長寿者集団の実態を示したものであり、すべての年代に一律に当てはまるわけではありません。ただ、少なくとも老いを健やかに乗り越える段階においては、世間の「粗食信仰」に流されることなく、筋肉やホルモンの材料をしっかり摂ることが生存率と生活の質を守るための正解であることを、彼らのデータは雄弁に物語っています。
「ラーメン」は優れた栄養補完食
「塩分を控え、コレステロールを避け、痩せていることこそが正しい」という従来の健康観は、時に私たちの体を守るための材料を奪い、活力を削ぎ落としてしまうリスクをはらんでいます。
実のところ現代の日本人は、世代を問わず、「栄養バランスの偏り」という深刻な課題に直面しています。メタボリックシンドロームの影に隠れがちですが、実際には若い女性や高齢者を中心に、エネルギー摂取そのものが終戦直後と同程度の低い水準にまで落ち込んでいる層が確実に存在します。
ここで重要なのは、単なるカロリーの数字だけではありません。たとえ総エネルギー量は足りているように見えても、実は筋肉や血管、ホルモンの材料となる動物性たんぱく質や良質な脂質、そして代謝を助けるビタミン・ミネラルが決定的に不足している――こうしたエネルギーの質のミスマッチが、日本人の活力を奪っているのです。
こうした栄養の欠乏が起きている日本において、実は極めて優れた栄養補完食になり得るのが、ラーメンという一杯です。ラーメンはしばしば「高カロリーで不健康な食事」の代表格とされますが、一食としてのエネルギー量を見ると、醤油ラーメンでおよそ480kcal、味噌や豚骨でも550~600kcal前後。これは、1日の活動を支える食事としては決して過剰ではなく、むしろ質の高いエネルギーを効率よく補給するにはちょうどよい量なのです。



