ラーメンの塩分は適正範囲のレベル
「塩分を摂ると血圧が上がるからダメだ」というのは、あくまで血管が破れるリスクしか見ていない一方的な理屈です。「血圧を下げすぎると、脳が働かなくなる」というリスクも同時に考えなければなりません。実際、ラーメンを食べたときに「美味しい!」と感じて目が覚めるような感覚になるのは、塩分によって適度に血圧が上がり、脳への血流が増してシャキッとする効果もあるからなのです。
ここぞという仕事の前や、頭をフル回転させたい午後。そんな時にラーメンのスープを飲むことは、脳のエンジンを回すためのガソリンを入れるようなものだと考えてもいいでしょう。適度な塩分と血圧は、働く私たちの脳にとって最強の味方になり得るのです。
「ラーメン一杯には約6.5gの塩分が入っている」。これだけを聞けば、「やっぱりラーメンは体に悪い」と思う人が多いでしょう。国が掲げる減塩目標(男性7.5g未満、女性6.5g未満)だけを当てはめれば、確かにほぼ1日分を使い切る計算になります。しかし、ここで冷静になってほしいのです。
17カ国・10万人以上の大規模調査(PURE研究※)によれば、最も死亡率が低かったのは、1日あたり10~15gの塩分摂取群です。この世界基準に照らせば、ラーメン一杯=6.5gなど、むしろ適正範囲内と言っていいレベルです。つまり「ラーメン=塩分過多」という一般論は、日本独自の過剰な減塩信仰が生んだ誤解にすぎません。実際、私たちが普段「健康的だ」と思って食べている和定食と比べてみても、ラーメンの塩分量が突出しているわけではないことが分かります。
(※カナダのマックマスター大学のアンドリュー・メンテ博士らの研究チームによる調査。『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』(NEJM)に2014年に掲載された。)
「焼き魚定食」もラーメンと変わらぬ塩分量
健康的な食事の代表格である「焼き魚定食」や「和定食」も、味噌汁や漬物、干物などを合わせれば、実はラーメンとほとんど変わらない塩分量になるのです。それなのに、定食は「バランスがよい」とほめられ、ラーメンだけが毒のように扱われる。これは明らかに不公平ではないでしょうか。
私が問題にしているのは、このように実態を無視して、イメージだけで特定の食べ物を悪者扱いする風潮です。本来、人間の体は無機質な数字で動いているのではありません。
「快・不快」「空腹・満足」「ストレスの有無」といった、心身の総合的なバランスで動いています。
特に日々、仕事や人間関係のストレスにさらされている働き盛りの世代にとって、昼休みのようやくホッとできる時間に、「健康のため」と称して我慢を強いられ、好きなものすら食べられないとなったらどうでしょうか。ラーメンのような「しっかり食べた感」のある一杯は、午後の仕事のエネルギー源になり、精神的なリセットにもなります。一口すすって「あぁ、うまい」と感じる瞬間に生まれる活力。それこそが、現代人にとって何よりの「心の栄養」なのです。


