世界にさらされた甲子園の病理
米メディアの安樂智大への注視は、この年夏の甲子園、さらには安樂が3年生になった翌年まで続いた。安樂本人が米メディアに挑発的なコメントをしたこともあって、この問題を通じて、日米の「野球観」の違いがくっきりと浮き彫りになった。
2014年夏の大会では、準優勝した三重代表三重高の左腕今井重太朗が814球を投げた。さらにこの年は、全国高校軟式野球選手権大会・準決勝で、岐阜・中京高校と広島・崇徳高校が延長50回4日間にわたって戦い、双方の投手が合わせて1300球以上を投げるという事態が起き、高校野球の「健康管理」が大きな問題となった。
ライター、リサーチャーの松谷創一郎は、これを「残酷ショー」とネット記事で痛烈に批判。高校球児の健康に関する問題意識が一気に高まった。
ジェフ・パッサンは、2017年に『豪腕 使い捨てされる15億ドルの商品(原著 The Arm)』を上梓、1章を設け、日本の高校野球が、米国や世界の少年野球に比べていかに特殊か、とりわけ投手の「健康被害」についていかに無頓着であるかを紹介した。この本は日本でも翻訳され、大きな反響を呼んだ。



