万博会場でまさかの「弁当を捨てろ」通告
日本初の万博は、「人類の進歩と調和」というテーマのもと1970年に大阪で行われた「日本万国博覧会」だ。芸術家の岡本太郎氏が万博のシンボルとしてデザインした「太陽の塔」は大阪府吹田市に現在も残っており、観光名所になっている。各国パビリオンの展示の中でも、アメリカ館の「月の石」は特に人気で、5時間以上待つことも珍しくなかった。
私にとっては、小泉内閣時代に愛知県で行われた「愛・地球博」も印象に残っている。メインテーマとして「自然の叡智」が掲げられた万博で、環境問題に関する展示も多かった。イメージキャラクターだったモリゾーとキッコロの名前も、記憶に残っている。
そして、愛・地球博で忘れられないのが「弁当騒動」である。
万博会場では様々なレストランや屋台が並んでおり、地元・名古屋のお店もたくさん出店していたように思う。運営側の視点からすれば、レストランや屋台を出せばそれだけ売り上げも上がるのだから、出店するのは当然だ。
しかし、開幕当初に会場へ弁当持ち込み禁止というルールがあったのは解せなかった。しかも、入場口の手荷物検査で弁当が見つかった場合、それを捨てなければ入場できないという、馬鹿げた運営方針がとられていた。
遠方から訪れる人はともかく、近隣から訪れる人にとっては、お弁当を持参して家族で食べるのはごく普通である。確かに飲食物の持ち込みを禁止すれば、それだけ売り上げは上がるだろう。しかし、愛・地球博のテーマは「自然の叡智」である。わざわざ来てくれた人に対して「弁当を捨てろ」というのはいかがなものか。
エコロジーの観点から最もかけ離れていると感じた私は、弁当の持ち込み制限を撤廃するように協会へ強く働きかけた。最終的には小泉純一郎首相(当時)が経済産業省と万博協会へ持ち込み規制の緩和を検討するよう指示を出し、開幕1週間後の4月1日から「家庭で調理した弁当」と「小中学校、幼稚園及び保育園の遠足用の弁当」については持ち込みがOKとなった。
そして今回の大阪・関西万博の最大の心配事といえば、チケットの売れ行きである。公式サイトによれば、3月26日時点でのチケット販売情報は約850万枚となっており、大阪府の吉村洋文知事が掲げた売り上げ目標の1400万枚にはまだ遠い。
なぜチケットの売れ行きが悪いのかを考えていたところ、万博参加国のある関係者から「チケットを贈るので、ぜひわが国のパビリオンを見に来てください」と電話をもらった。
チケットをいただくのはうれしいが、私の心境は少し複雑だった。関東に住んでいる私が大阪の万博に行くには、当然ながら新幹線か飛行機に乗る必要がある。そして、すべての展示を見ようと思ったら1日で見終わるはずもないから、ホテルも予約する必要がある。そして、私ひとりで万博を見に行ってはあとから妻に何と言われるかわからない。妻も誘わなければならないから、費用は倍になる……。
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