問題点を探ろうとせずにすぐに解決策に飛びつく人は、仕事や人生においても同じようなことをしがちです。

「営業成績が悪くなると、残業して訪問数を増やし、根性で目標を達成しようとする」

「人生に迷ったときは、とにかく自己啓発本を読んで満足する」

こういったパターンに当てはまる人たちは、問題を根本的に解決することなく場当たり的に現状に対処しているだけです。悪い状況を引き起こした問題点は放置されているので、そのときは一時的に危機を脱しても、しばらくするとふたたび同じ悩みにぶち当たるでしょう。

現状を改善するなら、まず問題点を明確にすることが先決です。あたりまえのことのようですが、最近は、このあたりまえのことがないがしろにされている気がします。

いまはビジネスでも四半期決算が一般的になりました。いち早く結果を出すことが求められるので、多くの人は問題点をじっくり考える余裕がなく、お手軽な特効薬に頼ろうとします。

しかし安易な解決策に飛びついたせいで問題を根本的に解決できず、長い目で見るとジリ貧になっている人が目立ちます。

いい結果を出し続けられる人になるためには、スピードが求められる時代においても、あえて一度立ち止まって考える勇気を持つことが大切です。昔から「急がば回れ」といいますが、仕事や人生でも同じ。一見、遠回りに見えても、最初に問題点を明確にしてから走りだしたほうが最終的に早く目的地に到達できるのです。

では、流されがちな毎日においてしっかり立ち止まり、自分の抱えた問題点を明確にするためにはどうすればいいのでしょうか。

そこで役に立つのが、毎日、問題点を紙に書き出して振り返ることです。

日々の行動を書き出しながら振り返れば、まわりの環境や自分の強み弱みを把握でき、自分がどこでつまずいているのかという問題点が浮かび上がってきます。

やみくもに問題を解く前に、まず自分が解くべき問題を、紙に書き出して導き出す。それが、自分を変えて成果を出すための第一歩になります。

中司祉岐(なかづか・よしき)
株式会社日報ステーション代表取締役。経営日報の“赤ペン指導”で売り上げを倍増させる日報コンサルタント。クライアントからは、FC、特定ブランドで売り上げ日本一を多数輩出している。高校卒業後、零細飲食店に入社。集客を担当し来店者数10倍、客単価2倍を実現。その後、勤務した大手アパレルチェーンでは、販売員として全国トップテンに入る業績を上げる。その営業・販売の実績を買われ、零細企業の創業、事業立て直し支援事業に従事。そこで中小零細企業こそ少しの工夫で成果が出せると気づき、株式会社ビジフォーム(現・株式会社日報ステーション)を設立。著書に『A4 1枚で「いま、やるべきこと」に気づく なかづか日報』(経済界)、『小さなひらめきが成果に変わる A4マイ日報で「勝ちパターン」仕事術』(幻冬舎ルネッサンス)がある。
※日報ステーション http://nippo-st.com/
(撮影=よねくらりょう)
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