自分の仕事や人生がうまくいかないとき、みなさんは問題点がどこにあるのか、じっくりと考えているでしょうか。
「問題点なんてどうでもいい。てっとり早くうまくいく解決策を教えてほしい」
そう考えてすぐ答えに飛びつこうとする人は、十中八九、失敗します。
考えてみれば、これはあたりまえのことです。
問題点を確かめずにすぐ解決策に飛びつくのは、患者さんがすぐに治る薬だけ処方してくれというようなものです。医師の診察もなしに薬をもらって飲んでも(実際にはありえませんが)、病気に効くのかわからないどころか、副作用でさらに体調が悪化するおそれもあります。
ところが、ほかの場面になると、「まずは問題点を特定する」というプロセスを飛ばして、いきなり解決策に飛びついてしまう人が少なくないのです。
たとえば「英語を話せるようになりたいので、TOEICの問題集を買って勉強を始めた」という経験はないでしょうか。
TOEICは、英語を母語としない人向けの国際的な英語検定試験です。でも、英語がうまく話せないときに、この試験の勉強をすることが正しいでしょうか。
もしかしたら語彙力や文章力はあるのにリスニングだけができなかったり、それ以前に外国人を前にすると緊張してしまう性格に問題があるのかもしれません。いずれにしても、問題集をやれば英会話ができるようになると考えるのは早計です。
あるいは「ダイエットを始めたいので、朝食を抜いて1日2食にした」というのも陥りやすい間違いの一つです。
なかなか痩せられない原因は、食べ過ぎのせいなのか、運動不足のせいなのか、それとも両方なのか。
そういった検証なしに朝食を抜いても、効果的なダイエットができるとは思えません。朝食を抜いたことでおなかが空き、かえってランチをたくさん食べるようになることも考えられるでしょう。