売り上げと前年比だけでは見えない

売上高や輸出額は「位置」である。成長率は「速度」である。成長率が前年より高まっているのか、低下しているのかは「加速度」である。そして、その加速度を急に変える技術革新、規制変更、地政学的事件、需要爆発が「躍度」、すなわち加速度を変化させる引き金になる。

経営会議では、売上高と前年比だけが並ぶことが多い。しかし、それだけでは位置と速度しか見ていない。競合の成長率がさらに高まっているなら、こちらは加速度で負けている。生成AIのような外部の技術革新が競合だけを加速させているなら、躍度の受け取り方で負けている。

そして微分だけを見ても十分ではない。企業が今日持つ供給能力、顧客基盤、人材、知的財産、取引ネットワークは、昨日突然生まれたものではない。過去の意思決定が長い時間をかけて積み上がった「積分値」である。韓台の現在の加速度は、過去の集中投資を積分した結果であり、日本の現在地もまた、過去の選択と不選択を積分した結果なのである。