「ムラ社会」の時代は終わった

かつての日本には、「ムラ社会」という言葉で表現されるような地域共同体が存在していた。食料や衣類をはじめ、生活に必要な物資を調達するためにも、仕事に就くにしても、いろいろな人たちの手を借りる必要があった。その時代では、地域の交際から締め出されてしまう「村八分」というペナルティを受けることは、死活問題だった。

しかし、社会は変わった。お金さえあれば、生きるために必要なサービスを受けることができるようになった。もはや、友達がいないと生きていけない時代ではない。それなのに、私たちは今でもムラ的な親しさの作法に縛られている。「友達がいないと恥ずかしい」という感覚は、その名残なごりだ。

この本が2008年に出版されてから、もう15年以上が経つ。しかし、そのメッセージは今でも色褪いろあせていない。むしろ、SNSの普及によって「つながり」への強迫観念が強まった現代において、ますます重要性を増しているように思う。菅野先生は2016年にお亡くなりになったが、その著書『友だち幻想』は今でも多くの人に読まれ、救いとヒントを与え続けている。