偉人を友とするのは本を友にすること

これは、2000年くらい前に書かれた言葉だ。しかし、今でも通用する。いや、今だからこそ、より強く響く。

小島和男『生まれたくなんかなかったのに それでも生きるための哲学』(幻冬舎)
小島和男『生まれたくなんかなかったのに それでも生きるための哲学』(幻冬舎)

現代人は、多忙に追われ、自分の時間を持てないでいる。SNSで他人の生活を眺め、比較し、焦る。そんな現代人にこそ、セネカの言葉は届くべきだ。過去の偉人を友とすれば、あなたが20歳であっても、その偉人たちの年月が付け加えられ、60歳にも、320歳にもなれる。そして、10歳のような吸収力を持つこともできる。古典を読むことで、あなたの人生は何倍にも拡張される。

過去の偉人を友とするとは、具体的にはどういうことか。本を読むことだ。本は、著者との対話だ。著者が何年もかけて考え抜いたことが、数時間で読める形にまとめられている。著者は読者のために、自分の知識と経験のエッセンスを惜しみなく提供してくれる。しかも、何度でも読み返せる。理解できなければ、同じページを何度でも読める。

現実の人間相手なら、何度も同じ話を聞くのは気まずいが、本ならそんな遠慮は不要だ。しかも、本は裏切らない。本に悪口を言われることはない。本に嘘をつかれることもない。

本を読むことで時空を超えられる

本は、いつでも同じ内容を、同じ言葉で伝えてくれる。気分によって態度が変わることもない。人間の友達は、いつか死ぬ。引っ越して離れ離れになることもある。喧嘩して絶交することもある。しかし、本は残る。絶版になっても、図書館にはある。電子書籍なら、物理的な劣化もない。

本を読むことで、私たちは時間と空間を超える。2000年前のセネカと対話し、古代ギリシアのプラトンと対話し、江戸時代の本居宣長もとおり のりながと対話する。その人たちは現実には会えない人たちだが、本を通じて、その考えにふれることができる。これは、現実の友人関係では決して得られない体験だ。

本を友とする人生は、決して寂しいものではない。むしろ、人間関係の煩わしさから解放された、豊かな人生だ。

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