映画の感想は「ゾッとした」
私の場合、映画は和気あいあいと家族で視聴したのだが、視聴後の感想は全員一致で「ゾッとした」。なんだろうか、この朗らかすぎる世界が、さらにのんきな音楽や悪意のない敵役が、それゆえに余計に底に流れる残酷なメッセージを際立たせる。
X・コミック読破組からすると若干映画なりのサプライズが足りなかった感もなくはないが、それでも満足度は高かった。キャラクターを認知していた層に本作の「毒」の部分を広げるために効果的であったと言えるだろう。
人魚の肉を食って永遠の命を手に入れてしまった島民の罪と罰の話、というのが劇場版の筋なのだが、ファンシーすぎてかわいすぎるキャラクター達の口から容赦ない結末に向けたセリフが発信されるのが空恐ろしい。
罪を犯した人間を孤立した深海に沈めることを考えている主要キャラクターであるセイレーンの「オリに入れて♪なんかずっと♬くらいとこ♪」が印象的だ。
ちいかわの深すぎる世界観
ちいかわのストーリー展開は一般的なマンガとはずいぶん違う。ファンシーでファンタジーな世界はまるでサンリオのキャラクターのようなのだが、そこに潜んだ「毒」が広い世代の心をとらえるトリガーになっている。その毒とは、いうまでもなく我々の現実社会との重ね合わせだ。
『ちいかわ』は、ちいかわ達がみんな仲良く暮らしている話、ではない。ちいかわ族は「でかつよ族」(なんかでかくて強いやつ)から捕食される食物連鎖の世界に暮らしている。危険な生き物を「討伐」という過酷なミッション(労働)があり、頼りなげな棘のついた「さすまた」で慣れない戦いに日々駆り出される。
この世界では、草を抜く「草むしり」をすることで報酬を得ることができる。「草むしり検定」で上位の級に合格すると、作業できる範囲が広がり、もらえる報酬もアップする。まるでTOEICか英検だ。
ちいかわが「草むしり検定5級」に受からずに鬱々とする日々を過ごす様子が描かれている。2025年7月に公開されたマンガで、ちいかわが3度目の挑戦で5級に合格した際は、Xで66万いいねがついてトレンド入りした。

