緑黄色野菜と緑茶で血行を良くする

認知症予防に役立つとされる一般的な生活習慣に加えて、とくに血管にアプローチして脳を守ることにつながる6つの生活習慣を紹介していきます。

①血管を若く保つ食事

世界の約2300件に及ぶ認知症研究を集計したメタ解析において、運動、禁煙、個別の降圧治療など数ある方法の中で最も高い効果が見られたのが、食事でした。バランスの取れた食事習慣を守った上位3分の1と守れなかった下位3分の1を比較したところ、認知症発症リスクが倍くらい違ったという観察研究もあるほどです。

参考にしたい食事法は主に2つ。まずはイタリアやギリシャなど地中海沿岸の国々で食べられている伝統的な「地中海食」。野菜、果物、豆、全粒穀物を多く摂り、オレイン酸やポリフェノールを含み抗酸化作用の強いオリーブオイルを使うのが特徴。心臓病・生活習慣病予防に良いとされています。

もう一つはアメリカで高血圧を改善するために考案された食事「DASH食」です。塩分や飽和脂肪酸を減らして、カリウム、カルシウム、マグネシウムの3つのミネラルと食物繊維をたっぷりと摂るという食事方法。この3つのミネラルは塩分(ナトリウム)を排出する働きがあります。

今回紹介するのは、この2つを参考に考案された「MIND食」と呼ばれる食事法です。2015年にアメリカのラッシュ大学を中心としたチームが提唱したもので、摂取すべき食品10種と、摂取を控えるべき食品5種を挙げ、その摂取目安を示しています。

例えば摂取すべき食品の一つ、緑黄色野菜は天然色素成分カロテノイドが多く含まれ、抗酸化作用や抗炎症作用といった効果を発揮します。血漿中のカロテイド濃度が高いと、将来の認知症リスクが低くなることが明らかになっています。チーズが摂取を控えるほうに入っていますが、これは熟成期間の長いタイプだと終末糖化産物(AGEs)を多く含むからです。AGEsは血管を構成するたんぱく質と結びついて、血管の弾力性を奪います。チーズでもモッツァレラのような熟成期間の短いものはAGEsが少ないそうです。この15項目のうち10項目くらい守れればいいという、緩い食事法です。

上の表はアメリカの高齢者向けに作られたリストを、日本人向けに私なりにアレンジしたもの。本来の「MIND食」よりも日本人は魚をもっと多く食べていいと考え増やしました。また、「MIND食」で勧められていた全粒穀物に代え玄米を、フラボノイドの豊富な赤ワインの代わりにカテキンが効果を発揮する緑茶を加えています。

リストでは触れられていませんが、塩分の摂りすぎには気をつけることが重要です。塩分過多な食事は、口腔内や腸内のフローラを悪化させます。

加熱調理では、オリーブオイルを使用したり、蒸し器を利用しましょう。電子レンジによる再加熱や使い古した油での揚げ物なども、大量のAGEsや酸化ストレスを発生させることがわかっています。高温で揚げるファストフードのフライドポテト、古くなった油を含む賞味期限切れ間近のポテトチップスなどの摂取は避けることです。

食べてすぐに横になると、食事を摂ったことで高くなった血糖値が下がりにくくなり、体の糖化を進めることにもつながります。そこで食事の後には、軽い運動をすることを勧めています。

(構成=福光 恵 イラストレーション=武曽宏幸 図版作成=大橋昭一)