物価高に拍車をかける「人材不足」

経済専門家の間では「ヒートフレーションは一時的な物価変動の要因ではない」との指摘が多い。ヒートフレーションが発生する頻度、その影響の範囲は拡大するとの懸念も高い。今後の世界経済にとって重大なリスクだ。

コロナショックをきっかけに、世界の物価は上昇しやすくなった。主要国の財政支出の増加、財政悪化・破綻の懸念はインフレ懸念を押し上げた。ウクライナ戦争やイラン戦争による、物流の混乱や原油、ガス、穀物、肥料、ナフサなどの基礎資材の価格上昇も物価上昇の要因になった。

人手の不足も労働コストを押し上げている。少子化、高齢化、人口減少が同時に進行するわが国では、人手不足倒産が増えた。推計の一つによると、2025年度、わが国企業の人手不足倒産件数は、前年度比約1.3倍の441件と過去最多を更新した。

物価高、円安に加えて電力不足のリスク

また、わが国では円の下落圧力が高まった。円安の進展は、輸入物価を押し上げることになる。今後、ヒートフレーションは、国内の物価を追加的に押し上げる恐れが高い。

懸念される一つの要因は電力料金だ。異常気象による気温変動により、夏場の冷房、冬場の暖房といった空調のための電力需要は増えるだろう。AI成長のための電力需要にヒートフレーションが加わると、世界的に電力不足の懸念も高まるはずだ。

それに伴い、わが国が必要とする発電用の化石燃料輸入量は増加するだろう。円安が進む中で、エネルギー資源などの輸入増加は貿易収支の悪化要因になる。円売りは増加し、輸入物価は連鎖的に上昇することが予想される。

電力料金の上昇は、製造業、非製造業、行政サービスなど、経済社会の運営コストを押し上げる。そうした変化が現実に起きると、物価の上昇と個人消費の減速懸念は高まるだろう。今後、ヒートフレーションは、わたしたちの生活負担を高める懸念が高い。

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