安さとエンタメ性がある回転寿司の集客力

スシロー人気の大きな理由は、価格の安さだ。中国版のメニューは1皿8元〜28元(約190〜670円)の設定。日本よりは高めの設定だが、寿司全般が高額な傾向にある海外においては、破格の印象があるのだろう。

日本同様、レーンの上には特大タッチディスプレーの「デジロー」が設けられ、エンタメ性も抜群だ。60元(約1400円)ごとの抽選で寿司モチーフのフィギュアが当たる仕組みも話題を呼び、SNSでの拡散に一役買っている。

スシローの親会社FOOD & LIFE COMPANIESの広報担当者は、ブルームバーグに宛てたメールでのコメントで、「こうした良い反応がSNSを通じて北京、広州、成都へ広がっており、中国本土全体でスシローの集客力が加速していると考えています」と説明する。

店舗数で見れば、中国はすでに日本に次ぐ第2の市場だと、ブルームバーグが伝えている。F&LCのスシローを含む海外事業は、今年6月8日にオープンした香港の「スシロー九龍湾淘大店」をもって300店に到達。海外店の大半が中国本土・香港・台湾を含む大中華圏に集中している。中期経営計画では、26年9月期に海外310〜320店、海外売上比率35%を掲げる。

海外事業に牽引され、同社は通期の営業利益予想を405億円から485億円へ上方修正した。上半期だけで約280億円を稼ぎ、これにより修正後予想の約6割をすでに達成した。株価は1006円(株式分割調整後)を付けた2024年8月から上昇傾向にあり、現在は5000円台半ばで推移している。

サイゼリヤの稼ぎ頭は日本から中国へ

日本ブランドへの根強い支持は、寿司にとどまらず、アパレルでもその他の外食でも広く見られる。

中国の国内消費は冷え込み、日中関係にも依然緊張が続く。それでもユニクロの中国事業は堅調だ。サウスチャイナ・モーニングポストが伝えた親会社ファーストリテイリングの決算では、3月から5月までの3カ月間で中国本土の売上高は前年を上回り、利益は2桁パーセントの伸びとなった。

昨年9月から今年5月までの大中華圏における売上高は、5105億円。グローバル売上高の19.5%を占め、ここでも中国は日本に次ぐ世界第2の市場だ。

一方、サイゼリヤでは、稼ぎ頭の市場がすでに日本から中国に移った。アジア小売業界専門メディアのインサイド・リテール・アジアが昨年報じた数字では、中国事業の年間営業利益は4000万ドル(約65億円)と、日本国内の実に3倍にのぼる。

北京にあるサイゼリヤの店舗
北京にあるサイゼリヤの店舗(写真=N509FZ/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

人気の理由は、価格の手頃さだ。上海ではミラノ風ドリアが15元(約360円)、イカスミパスタが16元(約380円)。こうした手頃な価格で、日本同様に現地の消費者を引きつけている。

インサイド・リテール・アジアによると、海外事業担当取締役執行役員の長岡伸氏は、「中国市場を最も重視している。利益はすでに日本を上回っており、将来の成長余地もはるかに大きい」と強調する。

同社は2035年までに中国の店舗数を現在の約2倍、およそ1000店に拡大する計画だ。年50店以上のペースで出店を続け、日本国内の約1050店に迫る規模を目指している。