20代が借金までして2社に投じた結果
AIの熱狂的な成長期待が高まり、韓国では借入れによるレバレッジ投資が急増した。お金を借りてSKハイニックスとサムスン電子の株を買う人が増えたのである。
韓国金融投資協会によると、年初の時点で信用取引向けの融資残高は27兆4207億ウォン(約2兆8929億円)だった。5月末、融資残高は38兆ウォン(約4兆円)、6月下旬には38兆6328億ウォン(約4兆758億円)に増加した。世代別にみると、20代の取引が多い。
今年5月には、SKハイニックスとサムスン電子、それぞれの株価の2倍の値動きをするように設計された2つのETFの取引が始まった。このETFは、複数の銘柄を組み入れた指標=インデックスではなく、個別銘柄を対象にしたレバレッジ型の上場投資信託である。
借り入れを行って両社の現物株を買う。さらに、レバレッジ型ETFも保有すれば間違いない。そうした個人投資家は急増した。その結果、7月上旬の時点でサムスン電子とSKハイニックスの2銘柄、およびこれらに連動するレバレッジ型ETFの売買代金は、韓国株式市場の取引全体の70%超を占めた。異常なまでの集中だ。
レバレッジ投資の恐ろしいリスク
韓国個人投資家の強気心理は、わが国にも飛び火した。SKハイニックスなどの株価が勢い良く上昇するのを見て、わが国でも借り入れでキオクシア株などを買う個人投資家は増えた。
レバレッジをきかせた取引には、かなりのリスクがつきまとう。資金を借り入れて運用する場合、うまくいくと効率的に利得を増やすことはできる。
ただ、相場は常に思った通りに行かない。偶発事象の積み重ねで経済・金融市場は変化する。想定外のヘッドライン、誰かの売りなどをきっかけに急速に株価が下がると、レバレッジをかけて投資したポジション(持ち高)の評価損は急増する。
そうなると、投資家は保有銘柄を売却し借入資金の返済を急ぐ。株価の下落スピードはそれを上回る。結果として、多くの投資家が追加の証拠金差し入れ要請(マージンコール)に直面することは多い。
それに対応できないと、株式を売却して強制決済に追い込まれる。チューリップ・バブル、1990年代半ばからの米国のITバブル(株式のバブル)など、過去のバブルや一大相場がピークを迎えると、こうした展開が繰り返し発生してきた。今後、韓国でも同様の変化が起きる可能性は高まっているといえる。
