東大生の親がしている たった一つのこと

ここまでの話を踏まえて考えてみましょう。どうすれば、子どもの「地頭」がよくなるのでしょうか?

それは、地頭力を向上させようとがんばるよりも、頭を使う場面を日常にどれだけ仕込めるかです。

与えるのではなく、「余白」を残す

東大に合格する子どもたちの親に共通するのは、必要以上に手や口を出さないことです。むしろ、子どもが失敗したり、悩んだりする時間を尊重し、「自分の頭で考えてもらう」ことを大切にしています。

情報や答えを与えて、知識を詰め込むのではなく、「考える状況」をどれだけ用意してあげられるか。地頭力は、知識の量より思考の濃度で決まります。

食材と料理を例に考えてみましょう。

問題 冷蔵庫に、にんじん、じゃがいも、玉ねぎがあります。どんな料理をつくりますか? ※調味料などは自由に使えるものとする

情報をたくさんもっている人は、たしかに物知りです。ですが、それだけですと“地頭がいい”とはいえません。地頭がいい人は、もっている知識をただ並べるのではなく、「どう使うか」を考えられる人です。

では、「にんじん、じゃがいも、玉ねぎ」からつくれる料理はなんでしょうか?

玉ねぎ、にんじん、じゃがいも
写真=iStock.com/MagicBones
※写真はイメージです

野菜炒めを思い浮かべたでしょうか? この回答は、ただの知識です。野菜の料理方法を知っているかどうかの問題にすぎません。

にんじん、じゃがいも、玉ねぎであれば、肉はありませんが、肉じゃがやカレー、シチューもつくれます。蒸し野菜、野菜のオーブン焼きもできるでしょう。ほかにも、じゃがいもをスライスして、油で揚げてポテトチップスにすることもできますし、衣をつけてオニオンリング、にんじんのかき揚げをつくることもできます。

同じ材料でも、全部を一緒に使う必要はありませんし、きり方や調理法、味付けを変えるだけで、まったく違う料理が生まれます。

東大生の親は答えをすぐに教えない

このプロセスには、ただ知っているだけの段階から一歩進み、自分で考えて工夫する「考える状況」があります。

知っていることを自由自在に組み合わせて、新しいアイデアや答えを導き出せる人が、地頭がいい人と呼ばれます。

知識は材料であり、思考は調理です。自分で工夫する経験がなければ、思考力は育ちません。東大生の親で特に印象的なのは、答えをすぐに教えない姿勢です。

子どもが「この問題わからない」と聞いてきたとき、普通の親であれば解き方を丁寧に教えようとするかもしれませんが、東大生の親は「どう思ったの?」「どこまで自分でやった?」と聞き返すだけで、すぐに答えを提示しようとはしません。

なにかを教えるときにも、「この問題はこう解くんだよ」と教えるのではなく、「この問題、どうやって解くと思う? ヒントはこれだよ」と一度、質問を投げます。そうすることで、子ども自身が主体的に考え始め、自分の力で答えにたどり着く達成感を得られるようになります。

「こうすればいいのか!」「わかった!」という実感は、他人から与えられるのではなく、自分で導き出してこそ深く定着します。“納得”は親からもらうものではなく、子ども自身が自分でつかむものです。